深読みさんと忍耐女子

「深読みさん」ならではの「恋愛や夫婦関係で苦しくなる理由」 〜頼らせる側として生きるという選択〜

遠くを見つめる女性のバックショット

こんにちは、心理カウンセラー浅野寿和です。

毎週金曜は「深読みさん・忍耐女子」にまつわるコラムをお届け。

それでは今日のコラムです。

「相手の気持ちを察するのが得意なんです」

「こう言ったらどう思うか、無意識に考えてしまって」

「だから、私は“頼らせる側”でいるのが一番安心なんですよね」

僕自身、そういった言葉を、これまでのカウンセリングでも何度となく聞いてきました。

そして「どこかその気持ちがよくわかる」という自覚があります。

いわば「頼らせる側でいようとす”感覚」ですね。

これ、実はとても優しい生き方であり、同時に、恋愛や夫婦関係の中で自分を追い詰めてしまう要因にもなりうるのです。

と、そんな忍耐女子さんや深読みさんにありがちな心理パターンを今日は取り上げてみます。


「深読みできてしまうから」支える側に立ってきた

いわゆる「深読みさん」は、基本的に空気が読める人です。

相手の微妙な表情やトーンの変化に気づきやすく、感情の動きを先回りして理解しようとします。

そしてその読みの精度が高いほど、「支える側」に立つことが自然になっていきます。

「私は平気だから」
「あなたが安心できるように動くよ」

・・・そんなふうに、つい自分を“安定軸”として位置づけてしまう。

それはもちろん、優しさでもあるし、信頼を築くための手段でもあったのかもしれない。

だけどそのポジションが、“無意識的な義務や役割”になっていくと、ある問題が生じます。

自分の「揺らぎ」や「頼りたい気持ち」を出せない

パートナーとの関係においても、無意識に“頼らせる側”でいようとすると、

今度は逆に「頼る」ことや「不安を見せる」ことができなくなっていきます。

本当は寂しかったのに。

本当は気持ちをわかってほしかったのに。

でも、相手がしんどそうだったから。

ここで私まで弱音を吐いたら、崩れてしまうかもしれないから。

——そうやって、自分の気持ちをしまいこむことが増えていく。

その結果、表面的には“うまくやってる関係”に見えても、

内側では**「私ばっかり頑張ってる」「支えるばかりで苦しい」**という感覚が強まっていきます。


“支えている”のに、距離ができていくパラドックス

厄介なのは、こういう深読みさんの頑張りが、相手にとって必ずしも「ありがたいもの」として伝わるわけではないということ。

もちろん、深読みさんの頑張りがダメって話ではないんです。

ただ、たとえば・・・

  • 深読みして気をつかいすぎて、本音が見えなくなる
  • 会話の余地がなくなっている
  • 結果、安心感より、緊張感が強まってしまう

つまり、「わかってくれる人」でいようとしたことが、結果的に関係の距離を生んでしまうことがあるのです。

ここに相手への思いがないわけではない。

それは間違いのないことです。

しかし、相手にとって近い距離(安心できる適切な距離)にいなくなってしまうのが、深読みさんや忍耐女子さんの無意識的なパターンなのです。

深読みの裏にある“願い”は、愛だったはず

「ちゃんとしたい」「わかってあげたい」

それって、関係を大切にしようとしてきた証拠のようなものですよね。

ただ、恋愛や夫婦関係というのは、“支える側”と“支えられる側”が固定されるとうまくいかない構造を持っています。

誰かに頼られることも大切だけど、自分も迷ってよくて、自分も支えてもらっていい。

そこが受け入れられないと、

「どれだけ頑張っても報われない」
「ちゃんと向き合っているのに、伝わらない」

そんな孤独感ばかりが残ってしまうんですよね。


「頼らせる側」を手放していく勇気

支える力がある人ほど、「自分も支えられていい」っていう許可が、なかなか出せないものです。

でも、関係が本当に育っていくことを考えるなら、お互いが“弱さ”も“迷い”も見せ合えるときだと思うわけですよ、僕は。

そこに「読まなくていい関係」「読まれなくていい安心感」が、ようやく生まれる。

これは一つの信頼のかたち、なんでしょうね。

もしあなたが、いつも頼らせる側にいることで、どこか関係の中で孤独を感じているなら。

それは、あなたが悪いからではなく、「ちゃんとしようとしすぎてきた」だけかもしれません。

相手を読む力も、支える力も、優しさも、全部あなたの資質。

でも、それに“自分自身の居場所”がないままじゃ、きっとしんどくなると思いません?

だから、たまには、ちゃんと迷っていい。

自分の気持ちを見せてもいい。

「わかってあげなきゃ」じゃなくて、「わかってもらいたい」って思ってもいい。

そんな許可を自分に出していくこと。

それができる関係こそ、本当に“頼られる価値”のある、あたたかい関係なのかもしれません。


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