自分らしさ・生き方に悩むとき

失った自信を取り戻すには? 〜心理学でわかる“揺れる自信”の回復法〜

自信を失った女性

「前はあんなに自信を持って取り組めていたのに、最近は手が止まってしまう」

「人から“頼りになるね”と言われても、心の中では“私なんて…”とつぶやいている」

「小さな失敗をしただけで、これまで積み上げてきたものが全部無駄になったように感じる」

こんな経験、ありません?

いわゆる「自信」というのは、不思議なもので「昨日はあったのに、今日は揺れている」ということが起きえます。

まるでジェンガの塔のように、一つのピースが抜けただけで全体がグラつく、みたいなことが起こる、というか。

しかも、揺れるときほど「前はできていた自分」と比較して、余計にしんどくなるんですよね。

「昔はもっと堂々としていたのに」

「もう一度あの頃の自信を取り戻せるのだろうか」

そんな焦りや不安にかられる方も少なくないのです。

そこで、今日は改めて一般的によく使われる「自信」という言葉と、失われた自信の回復ってどうすんの?という話をコラムにまとめてみたいと思います。

よろしければどうぞ。

「自信」の心理学的な定義とは?

「自信」とひとことで言っても、心理学的にはいくつかの要素が絡み合っています。

  • 自己効力感:ある行動を成功させられる見通し
  • 自尊感情:自分には価値があるという感覚
  • 自己概念:自分をどう捉えているか(アイデンティティの一部)
  • 状態的自信:その時々の一時的な「今はできそう」という感覚

つまり、自信とは、いわば「一枚岩の感覚」ではなく、複数の側面のバランスで成り立っていると考えられるんです。

※自己効力感、自尊感情などの言葉を深くお知りになりたい場合「サイト内の検索」で調べていただくといくつか記事が出てきますよ。お試しあれ。


なぜ自信は失われるのか、揺れるのか

自信は「結果として保証されるもの」ではなく

「経験(記憶)の積み重ね」

なんですよね。

まぁ、何事もやってみないと自信はつかない、というか。

何度か「できた」「大丈夫だった」という経験を心に刻むことで安定していきます。

ただ、「できた」「大丈夫だった」という経験も否定的に捉えれば、不安定になりやすいですよね。

また、失敗や否定的な経験が重なると、その記憶が強調されて「私はできない」と感じやすくなります。

さらに、自信が揺れる背景には、子ども時代の愛着体験や過去の評価経験も影響します。

たとえば「失敗=人から嫌われる」と無意識に結びついてしまうと、不安はより大きくなるのです。

自信が揺れる具体的なシーン

  • 仕事で一度のミスをしただけで「もう信頼を失った」と思い込む。
  • 人に断られただけで「嫌われた」と感じてしまう。
  • 新しいチャレンジを前に「成功する保証がない」と動けなくなる。
  • 自分の考えが否定されたと感じると、自分に意味を見出せなくなる

本来、経験を積むほど自信は育つのですが

「動けない→経験できない→自信が積み上がらない」

というループに陥ってしまうことがあります。


「自信がないのに動ける人」と「動けない人」の違い

さて、長くカウンセリングの現場にいると、自信がない状態でも「動ける人」と「動けない人」がいるんですよね。

これも一つの過去の経験から学んだ結果とも言えるのだと思うのです。

動ける人とは

  • 失敗を「経験」として処理できる
  • 周囲の支えがあり「やってみても大丈夫」と思える
  • 初めて取り組むこと、慣れていない環境でも周りが受け入れてくれるだろうという推測が成り立ちやすい
  • 他者との心理的な境界線が適切に引けている

動けない人

  • 過去の否定的体験や愛着不安が強く、「失敗=人間関係の崩壊」と結びつきやすい
  • 確実性を求めすぎて「完璧な準備がないと動けない」
  • 新しい環境が自分を受け入れてくれるという推測が成り立ちにくい
  • 他者との心理的な境界線が適切に引けていない(近すぎる・遠すぎるなど)ので、他者の意見や環境要因の影響を強く受けて振り回されてしんどくなる

ただし、何をやっても器用にできるのに、全く自信がないとおっしゃる方がいるんですよ。

この場合、自身の「経験のフィードバック」が適切ではないケースが少なくないと僕は考えています。

たとえば、「目立つこと」「力を持つこと」「嫉妬されること」などを恐れるがゆえに、自分の経験、成果、実績を自らの中で「いや、十分じゃない」と評価し続ける感じ、といいますか。

だから、自信が欲しいなぁと思いながら、自信がつきにくいフィードバックばかり続けていることが少なくないですね。

周囲からの評価はそこそこあるのに、自分は不十分だと感じやすい人は、この傾向があるんじゃないか、と思いますね。

余談ですが・・・

僕自身も後者寄りの人間ではあります(笑)

何事にも「失敗しても大丈夫」とはなかなか思えない思考や感じ方のクセがありますね。(今ではそんな自分を問題だと思えなくなったことが僕にとっての収穫なんですけども)

だから、かつてはより確実性を求めて動いてきました。

ただ、今になって思うのは、「絶対に失敗しない確実な方法なんてほとんどない」ということ。

同時に、「なんとかなること」もたくさんある、といいますかね(笑)

強いて言うなら「失敗する方法は確実にある」と思いますし、それは学んでおくと効果はあるでしょう。

ただ、「成功や自信を育てる唯一の正解」は存在しないと考えています。

むしろ、人それぞれ、自信を培うポイントも、価値観や視点も違う。

その違いを見て、あわせて、僕はカウンセリングをご提供しています。

自信を取り戻すための考え方とステップ

では、自信をどう回復していけばいいのでしょうか。

日常の中で取り入れやすい部分から4つご紹介しますね。

「ゼロになる」のではなく「揺れやすくなる」と捉える

自信は完全に失われるわけではなく、一時的に不安定になるだけ。

「今は揺れている」と認識することが第一歩になると思いますよ。

なくなったと思うと、めちゃくちゃ悲しいし悔しいし、自分が嫌になっちゃうもの。

でも、揺れているんだと思えば、無くなってはないんだな、と思えますからね。

小さな成功体験を積む

大きなゴールを目指すのではなく、「今日はこれをやり切った」といった体験を重ねるといいです。

いわゆるスモールステップです。

「うん、イケた」「思ったより大丈夫だった」という記憶を少しずつ積み上げることで、少しづつ感じられる安心感や自分への信頼も積み上がります。

人に与えている影響を振り返る

人は「自分が誰かに良い影響を与えている」と感じたときに、自己価値を確かめやすくなります。

たとえば「あなたに話して楽になった」「助かったよ」という言葉を思い出すことも、自信を支える力になります。

自分の価値は「結果」だけでなく、「相手に残した影響」にも表れていることがありますよ。

自分への声掛けを整える

普段から自分にどんな声をかけているか振り返ることも重要です。

反省すべきことは反省していいんですけど、ボコボコに責めなくてもいいんです。

もし自分に対して厳しい言葉をかけすぎているなら、自分を受け止めていく視点、考え方を身につけるといいですよね。

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カウンセリングが「自信回復の応援団」になる理由

とはいえ、一人でこのプロセスを積み重ねるのは難しいときもあります。

不安や過去の失敗記憶に押し戻されてしまうと、「やってみよう」という気持ち自体が出てこないからです。

そして、そんな自分を「良くない」と判断してしまう。

ただ、よーく考えてみれば、自分自身が「チャレンジしても大丈夫」「多少の失敗をしても人は離れていかない」と思えないとしたら、そりゃ何かに取り組むことのリスクを想定するのは当然といいますか。

それを「行動しないから自信がつかないんだよ」と言い切ってしまうのは、教育的観点からも、相手への敬意を向けるという視点からも、ズレていると僕は思うんですよね。

「その不安の中でよく今まで生きてこられましたね」と僕なら考えます。

いわゆる自身を感じられずに悩むこと自体、辛いことに違いないですから。

そのときに役立つのが、応援団や安全基地のような存在です。

僕のカウンセリングも、「一緒に経験を振り返り、自分の自信の種を見つけながら、小さな成功を見つけ直す場」として機能していることが多いと思います。

少なくとも「僕のもとにいただくお客様の感想」からそう見ることができる、といいますか。

つまり、自信を取り戻すプロセスを一人で抱え込むよりは、「安心できる誰かと一緒に積み重ねる」ことで整いやすくなるのではないでしょうか。

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最後に

いかがでしたでしょうか。

「自信が揺れる」というのは、ダメになった証拠ではないのです。

ただ、人間としてとてもつらい気持ちになりやすいには違いないと思うんですね。

自信がなくなって心から喜ぶ人ってほぼいないと思いますから。

ただ、その自分を攻撃したり批判的に見るのではなく、むしろ「自分を見直すチャンス」だと考えてもらいたいな、と思います。

自信は保証ではなく、経験と記憶の積み重ね。

「前にもうまくいった」「あの時もなんとかなった」

そういう体験の一つひとつが、あなたの心に“小さな土台”を作っていきます。

そして、人は結局「誰かに与えている良い影響」を見直すことで、自分の存在価値を確かめています。

たとえば、同僚に声をかけて安心させたとか、友人の気持ちを支えたとか。

そうした小さな積み重ねを見つけ直すことが、「私はここにいていい」という自己存在感を育てていくんですね。

ただ、頭ではわかっていても「自分の良さがよく見えない」「失敗するのが怖い」ということもあるかもしれません。

そういうときに役立つのが、カウンセリングでの伴走や、心理学講座での学びです。

一人で「揺れ」を抱え込まずに、誰かと一緒に自分を見直していく。

それが、安心して「経験を積むこと」に集中できる環境をつくってくれるんです。

そして、あなたの小さな体験や影響の積み重ねが、自己存在感を育てるんですよね。

ABOUT ME
浅野寿和 | 心理カウンセラー/トレーナー
恋愛や夫婦関係、仕事、対人関係、生き方の”こじれ感”を「甘すぎない心理学」で解決。ただ、気持ちを受け止めるだけでなく、背景にある心理構造や関係性のパターンを整理し、「現実的で納得できる選択」を一緒に探っていきます。 臨床実績9000件/東京・名古屋・オンライン対応。
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