こんにちは。

心理カウンセラーの浅野寿和です。

今日は、夫婦関係やパートナーとの関係を、なんとか良くしようと頑張っているのに、なぜか空回りしてしまう。そういうケースの話です。

もう一度、ちゃんと向き合いたい。今度こそ、この関係を立て直したい。

そう思って、話し合いの場を作る。言葉を選ぶ。タイミングも計る。

なのに、なぜか、話すほどに空気が硬くなる。良くしようとしているはずなのに、気づけば、相手を問い詰めるみたいな言い方になっている。

……あるいは、逆に。「もう、何を言っても無駄かもしれない」と、途中で口をつぐんでしまう。

必死に頑張っているのに、うまくいかない。

あるいは、頑張りたいのに、気持ちが前に出てこない。

この二つ、まるで逆に見えますよね。

でも、17年カウンセリングをしてきて、僕はこう思うことがありますよ。

この「必死さ」と「諦め」、実は、同じところから出てきている反応かもしれない、と。

必死さも、諦めも、同じ「反応」から来ている

まず、必死になること自体は、間違いなく大切な気持ちなんですよ。

どうでもいい相手には、人はそもそも必死になんてなりませんから。

諦めモードになる方も、本当は関係を大切に想っている。

ただ、その気持ちが、なぜか前に出てこないだけで。

で、ここからが本題なんですけど。

パートナーとの関係でも、仕事でも同じなんですが、必死さが強くなりすぎると、人はある反応を起こすことがあります。

「闘争か逃走か」と呼ばれる反応です。

これは本来、ストレスや危機を感じたときに、それに対抗しようとエネルギーを使う、人間に備わった大事な仕組みなんですね。

ただ、この反応が強く出ると、感情表出、つまり、目の前の相手に強い感情をぶつけたり、相手を批判する言動ばかりが続くことにもなりかねないんですね。

心が「危機」に備えると、何が起きるか

だから、こういうことが起きます。

本当は、落ち着いて話し合いたい。穏やかな時間を過ごしたい。

そう思っているのに、脳のほうは、勝手に危機に備えてしまっている。

すると、こんな思いが浮かんできたりします。

「このままじゃいけない気がする」。
「言い負かすくらいじゃないと、安心できない」。
「こんな緩い話し合いで、本当に関係が良くなるの?」。

「このままじゃダメだ」という危機に、反応している状態ですよね。

こうなると、関係を良くしようとして口を開いているのに、その言葉が、どこか相手を問い詰めるような響きになってしまう。

あるいは逆に、これ以上傷つきたくなくて、諦めモードになって黙り込んでしまう。

良かれと思って動いているのに、相手には「責められている」か「壁を作られている」かの、どちらかで届いてしまうんです。

そして、皮肉なことに、「このままじゃダメだ」と思い込むほど、本当にそっちに進んでしまうところがありますよ。

自分の中の悪い予感が、現実でも起きて、止まらなくなる。

・・・本当は、今の関係を大切にしたいだけ、なのにね。

「危機感を出さないように頑張る」も、実は戦闘モード

じゃあ、こういったとき、どうするといいのかという話ですが。

まずは、自分の心を整えて、その危機感を少しゆるめましょう、という話になることが多いですよね。

もちろん、これはぜひ取り入れてほしい考え方なんです。

ただ、ここで、真面目な方ほど、こうおっしゃるんですよ。

「わかりました。危機感が出ないように、頑張って取り組みます。」

その姿勢は、本当に尊い。

尊いんですが、危機感を「出さないように頑張る」ことが、目の前のパートナーさんより、自分の中の危機感のほうを相手にして、挑んでいる状態になると、ちょっと目的と手段のズレが起こるかもしれません。

言い換えると・・・頑張ってゆるめようとして、力が入ってしまう。

それ自体が、もう戦闘モードなんです。

だから、パートナーさんのことまで意識が向かなくなってしまうこともある。

自分を追い込むと、一時的には感情が鈍って、辛さが減ったように感じるかもしれません。

でも、その向き合い方そのものが、戦っている状態かもしれない。

だから、目指すのは逆で。

頑張って危機感を抑え込むんじゃなくて、自分をゆるめる。

安心を増やす。

自分の反応そのものを、整えていく。

少なくとも僕のカウンセリングで目指しているのは、そちらのほうなんです。

だから、けっこう緩いこともお伝えしますし、意外と、パートナーさんの心理をお伝えすることもあります。

人は、分からない何かと向き合うと、それだけで緊張して怖くなるものなので。

相手が何を考えているか少し分かるだけで、身構えていた肩が、ふっと下りることがあるんですよ。

もちろん、パートナーさんが何を思い感じているかは、ご本人に聞かない限り、正確なことはわかりません。

でも、それが分かるだけのコミュニケーションができない、そんな状況もありえますよね。

そんなとき、心理分析や状況の分析から、その傾向が見えてくることもあります。

僕も「パートナーさんは具体的にどんな言葉で、何を伝えていらっしゃいます?」とお聞きすることもありますよ。

なぜ、戦闘モードは、なかなか解除されないのか

「ゆるめたらいい、というのは分かった。でも、それができないから困ってるんです」。

・・・そうですよね。

じゃあ、なぜ、この戦闘モードは、そう簡単に解けないのか。

自分自身の戦闘モードが解除されないのは、たぶん、あなたの心が今も何かと戦い続けているからなんです。

パートナーと、じゃなくて。
冷たい空気。
居心地の良くない空間。
未来への、漠然とした不安。

そういったものと、一人で向き合って、エネルギーを使い続けている。

「我慢」も、その戦いの一つですよね。

そうやってエネルギーを使い続けていると、自分の気持ちも、相手の気持ちも、受け止めるだけの余裕が、心からなくなっていく。

だから、戦闘モードにならざるをえない。

つい、そうなりやすいんです。

自分の戦闘モードをゆるめるには

だから、ちょっとでも心が落ち着くことがあるなら、取り入れてみてください。

散歩に出かける。

自然に触れる。

人目があったほうが落ち着くなら、カフェでお茶する。

……自宅にこもり続けないことも、一つの方法です。

そのうえで、気持ちは一人で抱えずに、外に出しておく。

信頼できる友人など誰かに話す。

ノートやスマホのメモに書く。

感情のアウトプットはしておいていいんです。

自分にとっての心地よさを求めていい。

ただ、それでも気持ちがなかなか追いつかないこともあります。

そういったときに無理に落ち着けようとすると、それ自体が違和感になることもあるので、無理はしないでくださいね。

カウンセラーのような心のプロと話して、適切なアドバイスやサポートを受けることも考えてみてください。

パートナーの戦闘モードが、解けないとき

よく「居心地のいい空間を作りましょう」と言われますよね。

あれは、パートナーの戦闘モードをゆるめるのに効果的だから、なんです。

だから、そういう空間を用意することには、ちゃんと価値がある。

ほかにも、

  • 相手の言動を否定する言葉は使わない
  • 相手の沈黙も尊重する
  • こちらから伝えるべき連絡はきちんと伝える

・・・方法は、いろいろあります。

ただし、パートナーが戦闘モードを解かない理由を、「私がいることが、嫌だからだ」とだけ考えると、ちょっとしんどくなるかもしれません。

確かに、相手はこちらを跳ねのけようとしているように見える。

それはあなたにとっての事実かもしれません。

ただ、本気でパートナーを傷つけて、跳ねのけたいと思っている人が、いちいち戦闘モードになるのか、という話もあるんですよ。

僕の経験上、別れが訪れるときとは、いわばお互いに諦めや無気力が前に出てきたときが多いです。

むしろ、これまで対立してきたこと、その結果として湧いてくる申し訳なさ(罪悪感)と、戦っている人も、けっこういます。

その素振りを見せないのは、戦闘モードが続いているから、かもしれない。

もちろん、だから「辛くても耐えてください」とお伝えしたいわけじゃないんです。

辛いときは、必ず自分の心と体を守る行動を取ってください。

ただ、パートナーとの間で戦闘モードになる傾向の一つとして、

  • 男性は怒りを表現したり、いきなり関係を切り離しやすい
  • 女性はこれ以上がっかりしたくなくて何も言わなくなりやすい

と言われたりします。

もちろん、逆のこともありますけどね。

その根っこには「恥」の意識がけっこう色濃く残っている、という考え方があるんですね。

つまり、パートナーさんとうまく関われない、理解されない自分を「恥(よくない自分)」と認識している人は少なくないのかもしれない、という話。

だからこそ、パートナーに反発する、というね。

そういった見立てはあっていいかもしれません。

一人だと意識の切り替えは難しいかもしれませんが、頭の隅にでも置いておくと、少し違います。

そして、できれば「強い感情のやり取り」は、今は避けておくほうがいいですね。

相手の恥を刺激するような言動は、確かにより関係を悪化させる可能性がありますから。

最後に

もし、その「危機に備える反応」を、少しゆるめることができたとしたら。

あなたは、どんな自分で、パートナーと向き合いたいですか。

ただ、この反応をゆるめるのって、一人だと、けっこう難しいこともあるかもしれません。

ゆるめようと頑張るほど、力が入ってしまうこともあるので。

だから、こういうところは、誰かと一緒に整えていくくらいが、ちょうどいいのかもしれませんね。

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「もっとうまく関わり合えないだろうか」

夫婦の相談では、まあ、ほんとうによく聞く言葉です。

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でも、近い相手ほど、ひと言でムッとしたり、黙り込んだり、なぜか話が大きくなったりする。

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