人から頼まれると頑張れるのに、自分のためだと動けないのはなぜ?|得意なことで生きるためのヒント
こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
人から何かを頼まれると、けっこう頑張れる。
仕事ならちゃんとやる。
「これお願いできますか?」と言われれば、なんだかんだ考えて仕上げる。
困っている人がいれば、意外とすぐ動けたりする。
でも、
「じゃあ、自分のために何かやろう」
となると、なぜか動けない。
そんなお話をうかがうことがあるんですね。
しかも、そういったお話をしてくださるのは、既婚者の方、お子さんがいらっしゃるお母さん、普通に企業にお努めの方、などなど。
もう少し詳しくお話をうかがうと・・・。
たとえば、スキルアップのために勉強したいと思っているのに始まらない。
やってみたいと思うことはあるのに、そのまま手つかずで何ヶ月も経っている。
「これからどんな仕事がしたい?」と聞かれると、急に分からなくなる。
・・・それ、今が忙しすぎるからじゃないです?とも思うことがあるんですけどね。
ただ、「昔からそんな傾向がある」とおっしゃってくださる方もいらっしゃる。
だからでしょうか。
「私って主体性がないのかな」
「人に言われないと動けないのかな」
「もっと自分のやりたいことを持ったほうがいいのかな」
なんて思われている方もいるんですよね。
ただ、僕は、必ずしもそういう話ではないと思う部分があるんですよ。
もしかするとその人は、「誰かとの関係や役割の中で、自分の力を発揮しやすい人」なのかもしれない。
今日はそんな話を書いてみようと思います。
Index
人から頼まれると頑張れる。でも、自分のことになると動けない
たとえば、
自分のための資料はなかなか作らない。
でも、「これ、まとめてもらえます?」と言われると、かなり丁寧に作る。
自分のための勉強は続かない。
でも、「来月これについて教えてください」と言われると、急に本を読み始める。
自分一人だと何を書いていいか分からない。
でも、「このテーマについて書いてほしい」と依頼されると、いろいろ思いつく。
・・・こういうことってあると思うんですよ。
で、これを「人に言われないと何もできない」と見ることもできるのかもしれません。
でも、ちょっと見方を変えてみると、
その人は「相手が何を必要としているか」を受け取ったときに、ものすごく頭が動く人なのかもしれない。
とも考えられるんですよね。
「自分から動く力」と「求められたものに応える力」は同じではない
僕は、「自分から何かを始めること」と「人から求められたものに応えること」って、少し違う能力なんじゃないかと思っています。
自分で目的を決めて、ゼロから計画を立てて、動き始めることが得意な人もいる。
一方で、
「こういうことで困っている」
「これをお願いしたい」
「あなたにここを任せたい」
と役割が見えた瞬間に、ものすごく能力を発揮する人もいる。
相手の希望を読み取る。
足りないものを見つける。
必要なことを考える。
場合によっては、頼まれた以上のものまで返す。
・・・いや、これ、普通に能力ですよね。
だから、
「自分から始められない=やる気がない、主体性がない」
とだけ考えてしまうと、その人がすでに持っている力を見落とすことになるかもしれない。
そう思うことがあるんですよね。
人によって「力が出るきっかけ」は違うのかもしれない
人って、何かを始めるときのきっかけも、それぞれ違うんじゃないでしょうか。
自分の中で、
「よし、これをやろう」
と決めたら、そのまま動ける人もいる。
一方で、
- 誰かから頼まれる。
- 役割が決まる。
- 締切ができる。
- 誰かと約束する。
- 最初にやることが具体的になる。
そういった外側のきっかけがあると、急に動きやすくなる人もいます。
僕は、これを良い悪いで考えなくてもいいと思っています。
もしかすると、
「自分一人で動機を作る」より、「人との関係や役割の中で意味が見えたときに力が出やすい」
という個性なのかもしれない。
だったら、無理に「何でも一人で始められる人」を目指すより、自分はどんな条件なら自然に動けるのかを知ったほうが、自分を使いやすくなると思うんです。
ちなみに、自閉スペクトラムの成人を対象にした研究でも、「やろうと思っているのに始めにくい」という経験や、誰かの声かけ、役割、最初の一歩が明確になることなど、外からのきっかけで動きやすくなる人がいることが報告されています。
もちろん、こうした特徴があるから発達特性がある、という話ではありません。
ただ、「動けない=やる気がない」とだけ考えなくていいという点は、僕は興味深いと思っています。
「何がしたい?」より「どんなときに力が出る?」
となると、自分の仕事や生き方を考えるときの質問も変わってきます。
よく、
「あなたは何がしたいんですか?」
「本当にやりたいことは何ですか?」
と聞かれますよね。
もちろん、それで答えが出る人もいます。
でも、このタイプの人に何度「何がしたい?」と聞いても、
「・・・いや、それが分からないんですけど」
となりやすいのかもしれない(笑)。
・・・個人的にめっちゃよく分かるわ、と思いますけども。
だったら、別のところから探してもいいと思うんです。
「これまで、どんなことを頼まれたときに自然と頑張れた?」
「どんな相談をされると、勝手にいろいろ考え始める?」
「どんな役割を任されたとき、意外と苦にならなかった?」
「何をして人に喜ばれたとき、自分もちょっと嬉しかった?」
こういうところを見る。
すると、自分では「当たり前」と思っていたものの中に、得意なことが見えてくる場合がありますよ。
「得意なこと」は、一人でいるときには見えないこともある
そもそも得意なことって、自分一人では分かりにくいものなんですよね。
たとえば、相談された話を整理するのが上手な人は、本人にとっては「普通に話を聞いてるだけ」だったりする。
人の希望を聞いて、ちょうどいいものを提案するのが上手な人も、「別に普通ですよ」と思っている。
誰かの仕事を補助したり、散らかったものを整えたり、足りないところに気づくことが得意でも、自分では能力だと思っていない。
なぜなら、「普通にできる」から。
でも、人から求められることで初めて、
「あれ? これって僕には普通だけど、みんな普通にできるわけじゃないのか」
と気づくこともある、というか。
つまり、人との関係の中で初めて見つかる才能もあるということなんですよね。
「やりたいこと」より、「能力が起動する条件」を知る
だから僕は、「得意なことで生きていく」って、必ずしも「心からやりたいことを見つけて、それを仕事にする」だけではないと思っています。
むしろ、
自分の能力が、どんな条件で一番よく動くのかを知る。
これもかなり大事です。
たとえば、
一人で企画を考えるのは苦手だけど、誰かの案を磨くのは得意。
自分のための勉強は続かないけれど、人に教える予定があるといくらでも学べる。
自由に作ってと言われると困るけれど、「こういう人に、こういうものを届けたい」と条件が見えるとアイデアが出る。
一人で仕事をすると止まるけれど、誰かと一緒ならかなり進む。
だったら、それが自分の能力が起動しやすい条件なのかもしれない。
自分を変えるより、その条件を仕事の中に作る。
一人でゼロから考えるより、誰かの相談を受けて考える。
「自由にやって」と言われる仕事より、目的や相手が見える仕事を選ぶ。
一人だと止まりやすいなら、人と一緒に進める働き方を使う。
そうやって「自分に向いている仕事」だけではなく、「自分の力が出やすい働き方」まで選んでいいと思うんです。
ただし、「頼まれるとできる人」は頼まれすぎる
ただし・・・。
このタイプの人には、ちょっと困ったこともあります。
頼まれると、できちゃうんです。
で、できるから、また頼まれる。
期待されると頑張る。
困っている人を見ると放っておけない。
気づけば仕事が増えている、という罠にハマる人もいるわけですね。
・・・そりゃ疲れますよね(笑)。
なので、「人から求められることを増やせばいい」という話ではありません。
外からの「きっかけ」が役立つことと、外から「圧力」をかけられることは別なんです。
ちなみに、これは仕事だけの話でもないんですよ。
人間関係でも、「ちょっと口調はキツイとは思うけど・・・はっきり言ってくれる人のほうが分かりやすい」と感じる方がいます。
ただ、分かりやすいことと、強いプレッシャーを受け続けることは別です。
ここは一緒にしないほうがいいと思います。
話を戻しましょう。
どんなことも「言われたから全てやる」「頼まれたら断らずにやる」ではなく、
自分の力が出やすい仕組みは使う。でも、その力をどこで使うかは自分で選ぶ。
この意識はあっていいと思うんですね。
「人から頼まれると頑張れる」は、ひとつの才能かもしれない
「自分のためになると、なぜか動けない」
そんな自分を見て、
主体性がない。
やりたいことがない。
自分というものがない。
そこまで言わなくてもいいのかもしれません。
もしかすると、
誰かが必要としていることを見つけると、力が出る人なのかもしれない。
人から渡されたものを、より良い形にして返すのが得意なのかもしれない。
自分一人では出てこないアイデアが、人と関わることで出てくる人なのかもしれない。
だとしたら、探したいのは、
「私は何をしたいんだろう?」という答えだけではないのかもしれません。
「私は、誰のどんな必要に応えるときに、一番自然に力が出るんだろう?」
「どんな役割なら、無理なく自分の得意なものを使えるんだろう?」
「そして、その力をどこまで使うのが、今の自分にはちょうどいいんだろう?」
そんなふうに自分を見てみることもひとつの方法みたいですよ。
やりたいことが分からなくても、能力がないわけじゃない。
もしかすると、自分の力が出る「環境」や「きっかけ」を、もう少し見つめてみても良いのかもしれませんね。
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「自分らしく生きましょう」って、よく言いますけど。
その“自分らしく”が分からないから困ってるんですけどね。
ちゃんとやっているのに、なんとなく疲れる。
人に合わせられるけど、これでいいのかなと思う。
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