日常に使える心理学

「人と馴染めない」と不安を感じやすい人の心理と処方箋

「人と馴染めない」と感じて不安を感じるとき

『私、昔から周囲から距離を取られているように思うことがあって、うまく人と馴染めないんです。』

『いつも人から距離を取られているような気がします。ときには「もっと周囲と連携を問いなさい」と言われることが増えたんです。』

この手のご相談は、いわゆる「職場の対人関係のお悩み」として伺う場合が多いのですが、その他にも「友達」「ご近所付き合い」「ママ友」との関係の話として伺うこともありますね。

実際のご相談でも「友達に『人と馴染めていない』ということを相談したら『気にし過ぎなんじゃない』『ちょっと自意識過剰なんじゃない』と言われて少し凹みました」なんてお声を伺うことも少なくありません。

また、人によって「馴染めない」と感じる対象も様々です。

とかく「同性とは馴染めない」という場合もあれば、「異性同性関わらず」という場合もあります。

また、「年下と馴染みにくい」「年上と馴染みにくい」「年上、年下とは馴染めるけど、同世代と打ち解けることが難しい(意外と多いケース)」など、さまざまです。

では、なぜこのような事が起きるのか、その理由を解説してまいります。

よろしければお付き合いください。

「人と馴染めない不安」は何故生じるのか

まず「人と馴染めない」と感じる時、どのような心理状態であるかについて解説します。

人と馴染めないと感じる理由は「分離感が必要以上に強まっている状態」にあります。

「分離感」とは、他者と私が分離しているという感覚をもたらすものです。

いわば「私と人は違う」という感覚が必要以上に強まっているとき、不安や怖れを感じるのです。

人は強い分離感を感じているとき、「これ以上分離感を感じたくない」という葛藤や、「自分は人と違いすぎる・人に受け入れてもらえない」といった受け入れがたい感覚・感情を感じることが多くなるので、深刻な悩みになりやすいのです。

ただ、誤解していただきたくないことがあります。

それが「人は多少なりとも誰もが分離感を感じるものだ」ということ。

分離感を感じている自分がダメという認識を持つ必要はないと僕は考えています。

取り組むとよいテーマは「なぜ必要以上に分離感が強まるのか」です。

ここは注意したいところですね。

人と馴染めないと不安が強まる理由

「分離感が必要以上に強まっている状態」とは、「人との信頼関係・絆・つながりを感じられない状態」といえます。

「信頼・絆・つながり」は、自分の中で生じる怖れや疑いによって切り離されてしまうものなのです。

つまり、人との関わりの中で、何かしらの事情で「怖れ」を強く感じていれば、人との信頼・絆・つながりが感じられずに、更に怖れを強めることになる、というわけです。

また、人はこのような状態になることで不安を抱え、それぞれ様々な「人と馴染めない理由」を考え、思い込むようになります。

例えば、

「自分は相手と違うんだと思う(寂しさ)」
「周囲から浮いている感覚(不安)」
「きっと自分が嫌われる存在なんだ(罪悪感)」
「自分は周囲についていけていない存在・劣っている存在なのかもしれない(劣等感)」
「人と馴染めない自分が嫌い(自己嫌悪)」
「自分に自信がないから馴染めないんだ(自信喪失)」

この根っこには「信頼、絆、つながり」が感じられないことで生じる「怖れ」があり、それこそが扱うべきテーマになるのです。

が、なかなかそのように思えないことも少なくないのかもしれませんね。

実際にご相談の中でいただくお声の多くが「人のことなんて気にしないようにすればいいのでしょうけど」「もっと自信を持てればいいのですけど」「私は私という自分軸を確立すればいいのだと思うのですけど」といった声なのです。

いくら自分が真面目に努力しても「強い分離感を感じる理由・事情」を解消していないと、どんなに頑張っても「人と馴染めない」という感覚は何度も何度も感じてしまうことになりますから、なんとも悩ましいのです。

逆に言えば、「強い分離感を感じる理由・事情」について扱い、手放していくことができれば、「人と馴染めない」という問題を解決するきっかけになるというわけです。

※カウンセリングサービスWEBにこんな記事も投稿していますので、是非参考にしてみてください。

<カウンセリングサービス・すぐに役立つ心理学講座>
「自分にはなにか足りない気がする」からの解放

「人と馴染めない」となぜ苦しいのか

少し想像していただけるとお分かりかと思いますが、自分が周囲にいる人に対して信頼感、絆、つながりを感じられていないとしたら「不安や怖れ」を抱くようになるものです。

人によっては「いつ責められるか」「いつ攻撃されるか」といった怖れを抱くことにもなりかねません。ただ「馴染めない」という事実だけで、周囲の人に対して必要以上に構えたり、気を使ったりするなど、どこか脅威に感じてしまうこともあるでしょう。

また、今まで対人関係の中で「受け入れられない・排除された」といった経験を持っている人なら「また同じ目にあうのではないか」と感じることもあります。

このような分離感が強まったことで生じる「不安・怖れ」は、とかく感じなくない感情なので、多くは抑圧というカタチで心のなかに押し込められます。

しかし、その深層心理では「不安・怖れ」を刺激されるのです。

想像していただけるとお分かりかと思いますが、人と関わる中で不安や怖れを感じ続けるとしたら、相当に息苦しいし、いい気分にはなりませんね。

こうなると、人と関わるとき、自分が「人(周囲)を怖れている・疑っている」ということを隠さねばなりませんから、対人関係を楽しむどころか、いわば薄氷を踏むような思いで人と関わり続けることにもなりかねません。

 

また、社会の中で生きていれば「人と馴染めないと認識し、分離感を感じている今の自分」と「人と馴染めており、分離感を感じていないように見える他人」との比較も起きるでしょう。

すると、人と馴染めない自分はおかしいのではないか、劣っているのではないか、と自分を責め、自己承認・肯定が難しくなることもありえるわけです。

こうなると、さらに自信を失うので、さらに「相手にとって自分は価値がないのではないか」と思い、人と馴染めなくなります。

このようなことが幾重にも積み重なって、「人と馴染めない」ことは悩ましいものになっていくわけです。

 

更に切ないのは「自分はこのような葛藤を抱えていることを、なかなか他人が理解することは少ないこと」です。

まず、そもそも自分から「馴染めないことで悩んでいる」とは言わないものです。いえばより自分が情けなく価値のない存在のように思えるから、隠したいと思うはずですから。

よって周囲の人も「あの人、馴染んでいないな」とは思えども、「そんな悩みを抱えているのか」とは理解しないし、傍観されてしまうことのほうが多いでしょう。

特に職場など複数の人がいる場所ではこの傾向が顕著になります。

その理由は心理学でいうところの「傍観者効果」にあるわけです。

多くの人は、悩んでいる人を理解し、サポートしたい気持ちを持つのですが、つい「あの人が馴染めていないことは知っているが、まぁ職場には上司、他の同僚も先輩もいるし、自分が気にしてサポートしなくてもいいのだろう」と考えてしまう人が出てくるのです。

このような要因によって「人と馴染めない問題」は一人では解決しがたい問題になっていく側面があると僕は考えています。

人と馴染めない不安を解決する「投影」という視点

さて、世の中には「人と馴染めないことで悩む人」と「人と馴染めないことをあまり気にしない人」がいますね。

この違いも「分離感」によって説明することができます。

人と馴染めないことをあまり気にしない人は、馴染めないことを気にする人と比べてそこまで強い分離感を感じていないので、怖れもあまり感じていないのです。

実はここに「人と馴染めない悩み」を解消していく鍵が眠っています。

「人と馴染めないことをあまり気にしない人」は、あまり人を脅威に感じていません。人に対する怖れをあまり感じていないから、馴染めないこともあまり気にしないのです。

だから、人と馴染めないと悩む人と比較して、人を疑ったり、攻撃したいという気持ちになることが少ないというわけです。

ここで「投影の法則」が働くのです。

投影とは「人は自分の感情を、自分の外側の人やモノなどに映し出す」という心理作用です。

「人と馴染めないことをあまり気にしない人」は、今、ここに自分が存在することだけで、そこまで他人を怖れていないので、他人を疑ったり、責めたいといった気持ちをあまり感じないのです。

だから、その投影が働き、「自分は人から責められる・拒絶される」といった思いを抱くことはあまりないのです。

一方、「人と馴染めないと悩む人」は、人に怖れに感じていますから、つい自分だけでなく他人を疑ったり、責めたいといった気持ちを抱く機会が増えます。

よって、「自分が人を疑い、責めているのだから、人も自分を責めるだろう」と感じやすく、更に人を馴染めず、相手にどう思われているだろうかと気をもむことになるわけです。

つまり、「信頼・絆・つながり」を感じられないことで生じる怖れがつよければ、自分から人を疑い、責める気持ちを持ちやすくなる。

何もしないと更に怖いから、つい防衛的になり、人を疑い、責めてしまうというわけです。

しかし、その結果更に「人から疑われ、責められるのではないか」という投影が働くので、より人が怖くなり、馴染みがたく感じるようになるというわけです。

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馴染みやすい人と馴染めない人の違いが生じる理由

また、人によって「馴染みやすい人と馴染めない人の違いが生じる理由」のはなぜか、についても解説します。

例えば、「年下と馴染みにくい」「年上と馴染みにくい」「年上、年下とは馴染めるけど、同世代と打ち解けることが難しい(意外と多いケース)」など、さまざま考えられますね。

これは「自分は今までの家族関係、学校生活、社会との関わりの中で、誰と葛藤していたか」にその理由がある場合が少なくありません。

自分の中でその葛藤が「未だ解消していない状態」であると、そこでまた投影が働くのです。

例えば、自分より年下の兄弟、学年が下の子供たちとの葛藤が強ければ、「年下と馴染みにくい」となります。

親、祖父母、周囲の大人、自分よりの年上の兄弟、学年が上の子供たちとの葛藤が強ければ、「年上と馴染みにくい」となります。

全般的に兄弟の仲が悪かった(親の愛情を取り合った、兄弟と自分を比較して劣等感を感じていたなど)、同級生と打ち解けることが難しかった、といった葛藤が強ければ、「同世代と馴染みにくい」となります。

これはすべて自分自身がその誰かと葛藤し、平たく言えば「その誰かを責める気持ちを未だ心のなかで持ちつづけている」ことで起きることです。

私たちが大人になった今、社会の中で出会う人はまさに「過去からの利害関係のない他人」ですから、そこまで怖れたり、葛藤する必然性などないわけですよね。

しかし、自分の内面で葛藤を持ち続けている人がいれば、それを投影する他人との間で、同様の葛藤を感じてしまい、信頼や絆、つながりを感じられなくなる、というわけです。

 

この話はより具体的にすると非常にも分かりやすいんですよ。

例えば、子供時代にいつも自分を気にかけ、受け入れてくれる祖母がいて、自分も大好きだった、としましょう。

すると、おそらくお年寄りの女性にはそこまで怖れは感じないはずなのです。むしろ馴染みやすく、自分からも相手を理解し、手を差し伸べやすくなるわけですよ。

しかし、子供時代にいつも自分をいじめた兄がいて、今でも疎遠で死ぬほど嫌いだとすれば、なぜか年上の男性と触れ合うと葛藤し、つい構えてしまうなんてことがあり得るわけですね。

これも自分自身の投影のよって引き起こされることなのです。

 人と馴染めない不安 を解決する具体的な方法

今までの話をまとめますと、「人と馴染めない不安」という問題は、「自分自身の投影」と「周囲との信頼・絆つながりが切れていること」によって生じる怖れがもたらすものです。

この視点から「人と馴染めない不安」を解決する具体的に方法についてお伝えします。

自分から挨拶や感謝をするよう心がける

先ほど書きましたように、例えば職場やご近所さん、友人などとの間で馴染めないと感じるのは、自分自身の投影の影響は強いのです。

また、傍観者効果の影響もあって、周囲の人は自分と関わりたくないわけではないけれど、しかし積極的に関わってこないという状況も生まれやすいのです。

この状態を換えていくには、自分から気持ちのよい挨拶や、周囲への感謝の言葉を伝えることを心がけましょう。

少しだけ勇気がいるかもしれませんが、このようなことを通じて周囲の人は「あなたのことをそこまで脅威に思わなくなる」のです。いわば印象が良くなります。

それだけでお互いにコミュニケーションが取りやすくなります。

簡単なことなのですが、とにかく気持ちのいい挨拶を心がけてみましょう。あなたの素敵な笑顔が添えられればなおいいですね。

簡単なコミュニケーションを取るよう心がける

「人と馴染めない」と不安を感じやすい人ほど、何事も一人でやりたがる傾向があります。つい自分を疑われたり、更に嫌われることを恐れるから、一人のほうが楽なのです。

しかし、実はその代償として「自分自身のわかりにくさ」を演出している場合も少なくないのだと考えてみましょう。

そして、自分から「簡単なコミュニケーションを取るよう心がける」ことです。

職場なら簡単な報告や相談を持ちかけてみるのも手です。

はじめは関わりやすい人から始めましょう。

もちろん相手も驚いて怪訝そうな顔であなたを見るかもしれませんが、それは「相手もあなたのことがよく分からなくて怖い」のです。

相手にも怖がる自由を許してみましょう。

「そうだよね、私、今まで何も言わなかったんだから分からないよね。」と相手のことを理解してみてください。

このようなコミュニケーションを通じてより人と打ち解けやすくなっていきます。

ポイントは最初の一歩。それが何より不安で怖いわけですけど、その怖れよりも、相手のことを考えて与える意識を持ち、自分から関わってみてください。

人に対して貢献するよう心がける

人や場(職場や友人との関係性)に対して、貢献する意識を持ってみましょう。

貢献意識には、自分自身の罪悪感(私は人を疑い、責めている、相手のために何もしていない)を手放す効果があります。

職場なら同僚やプロジェクトに対して貢献的、献身的な態度で向き合うことです。

友人や家族などには、相手を理解し、相手が喜ぶようなことを行うことです。

ポイントは「相手や場に喜んでもらいたいな」という気持ちを持つこと。自分が嫌われないように行うと逆効果なので注意してください。

実際に相手が喜ばないとがっかりもしますが、貢献意識を持つことで自分自身の罪悪感が手放せ、「そこまで人と馴染めないような存在ではない」と思えるようになり、信頼・絆・つながりを感じやすい自分になれますよ。

そういう意味では、プライベートな時間にボランティア活動を行うことも一つのいい方法です。

葛藤している人との関係を改善する

「人と馴染めない」と不安を感じやすい人には、人に対する葛藤とその投影が働いています。

この投影を手放すために、上記の行動に出ると、それだけでも随分と怖れを手放すことができ、あまり自分を悩ませる理由になる投影を手放すことができるようになるのです。

また、実際に自分が葛藤している人との関係を改善することができると、更にこの投影は手放せます師、自己価値も感じやすくなります。

要は、深層心理で人を責め、許さずにいると、表面的には相手に対する怖れが少なくなった気がしますけど、実際は自分の怖れだけでなく罪悪感が強まるのです。

実際の親子関係、友人、仲間、同級生などとの関係を見つめ直していくことで、さらに人との信頼・絆・つながりを感じやすい自分を感じるようになれますよ。

その際にも、挨拶、感謝、簡単なコミュニケーション、貢献意識は使えるので是非参考にしてみてください。

最後に

「人と馴染めない」と不安を感じやすい人ほど、周囲から「あなたってどんな人なのかよく分からない」と思われているかもしれません。

言い換えるなら、恐れや葛藤の中に隠れている本当の素晴らしいあなたが、相手には見えないのです。

そして、人はあなたに「本当の自分を見せろ」とは直接伝えることはないでしょう。なぜならきっとあなたがそれを苦手にしている、と理解しているからです。

それぐらい人はなんとなくではありますが、あなたをよく見ています。特にいつも接している人、近しい人は、あなたのことをよくよく理解し、見ています。

そしてあなたのことをよく知りたいと思っています。

あなたに悪意を持って接しようとする人は別ですが、しかし多くの人は人を知り、信頼し、つながりを感じたいと思っているのです。

また、あなたの周囲にはあなたと同じ悩みを抱えている人もいるかも知れません。

そんな人にあなたはどんな自分を見せたいでしょうか。どんな気分を与えたいでしょうか。

その自分の思いに気づいてみようと思ってくださいね。

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