こんにちは。

心理カウンセラーの浅野寿和です。

今日は、仕事にまつわる話をしてみます。

「気づけば、いつも自分ばかり仕事を抱えている」。

そういう方の話ですね。

誰も気づいていない。でも、私は気づいてしまうし、見えてしまう。

あの資料、たぶん抜けがある。
あの人、今ちょっといっぱいいっぱいだ。
この案件、このままだと来週まずいことになる。

……気づいてしまったら、もう、自分の中でなかったことにはできない。

だから、そっと拾ってる。

そうやって、また、私の仕事が増えていく・・・。

こういうこと、ないでしょうか。

気づけば、自分ばかりが忙しい。

周りは、そんなに大変そうじゃないのに。

なんで私だけ、こんなに抱えてるんだろう、って。

こういう話って、こうまとめられるんですよ。

「それは、あなたが断れないからだよ」「NOって言えるように」って。

それも正しいです。

ただ、それは「そもそも気づいていない人」からの話であったり、ある意味「自分の気づいてしまう反応を自覚して、工夫して乗り越えた人」の経験と結果の話であることが多いみたいですよ。

なので、この手のご相談をうかがうとき、僕はそれとは違うところが気になるのです。

「断れない」んじゃなくて、その手前なんです

断れないから仕事が増える。

本当に、そうでしょうか?という視点。

もちろん、実際に仕事が増えているのでしょうが、それは断れないからなのか、という意味なんですけどね。

そもそも「断る」は、「誰かからの依頼があって発生」するもの。

頼まれたことに、YESかNOかを答える。

その場面の話です。

でも、よく思い出してみてください。

・・・頼まれる前から、もう気づいてませんか。

誰も何も言ってこないうちに、「あ、これ、まずいな」「あの人、困ってるな」って、先に、見えてしまっている。

そもそも「頼まれるとNOと言えない」という話も、おそらくこの視点から見つめると同じようなことが起きている可能性があるんですよ。

頼んでくる相手の様子がなんとなく見える、というか。

見えるから断れない。

断ってもいいけど、断ると見えているものを自分の中で否認しなきゃいけなくなる。

この「自分の内面で生じる否認」がちょっとしんどい。

見えていると感じていますからね。

つまり、結果的に仕事を抱え込んでしまうのは、断れないから、だけじゃないのでは?

その手前。

頼まれる前に「気づいてしまうから」かもしれない。

気づかなければ、断るも何もないわけです。

そして、同じ職場の人がそもそも気づいてないなら、みなさん平気な顔で通り過ぎていくでしょう。

そこに悪気なんてない。

ただ、気づいていない、見えてないだけ。

でも、あなたには、気づくし、何かを感じ取ってしまう。

こうなると放っておくほうが、よっぽど気持ち悪い(^^;

だから、自ら拾いにいく。

すると、気持ち悪さはなくなる。

……こういった反応の流れがあるのかもしれないですよね。

「断り方」だけの問題なのではない、という視点

ここが、けっこう大事なところなんですが。

世の中には「上手な断り方」みたいな情報がたくさんありますし、それはそれで重要な情報なんです。

ただ、気づいてしまう、見えてしまう人にとっての、断り方って、ある意味「結論」というか、「最後の最後の手段」なんですよね。

その前の葛藤、違和感、気持ち悪さ・・・・こういったものをなくす手段ではないんです。

うまく断っても残る違和感、気持ち悪さ。

それがある限り、また気づいて、見て、拾う・・・ということが起こりうる。

それは職場だけの話ではなくて、実家、パートナーとの間、友達との間、サークル活動で、などなど、ありとあらゆる場面で顔を出す可能性がある。

・・・これはそもそも論なんですが

「引き受けられないなら断りましょう」という話は正しいです。

しかし、そもそもこちらが気づいている、見えているという状態って、誰かに「頼まれてない」可能性もあるんですよ。

つまり、断りようがないんですよね。

「これ、お願いできる?」って言われたものを断ることは可能ですけどね。

しかし、自分の目に、感覚に、飛び込んできたものを見て見ぬふりする、っていうのは・・・なかなか難しいことのように僕は思いますよ。

だから、いくら断る練習をしても「気づいてしまったもの」が残るんです。

正直、キリがない話というか・・・。

だから、この「気づいてしまった・見えてしまった時点」で、どう扱うかの方が重要な気がしているんですよね。

気づいたら、拾う。その間に、隙間がない

この話、もう少し、踏み込んで見ると・・・。

本当は「気づく」ことと、「自分が拾う」ことの間には、何かしらの隙間があるはずなんです。

たとえば・・・

  • 気づいた。→でも、これは私の担当じゃない。
  • 気づいた。→あの人自身がやったほうがいい。
  • 気づいた。→でも、今は見守っておこう。

気づいたうえで拾わない、という選択肢が、本当はいくつもあるわけです。

でも、この「あえて拾わない」という選択肢に違和感を感じていると、つい拾ってしまうんですよね。

違和感を解消するために拾ってしまう、というか。

気づいたのに拾わないでいると、落ち着かない。

あの綻びを、見て見ぬふりしている自分。

困っている人を、放っておいている自分。

自分は気づいているのに、誰も気づいていないと感じる空間。

それが、なんだか、いたたまれない、というか。

だから、拾ってしまうし、そこにある意味「正義」があるというか。

「相手のため」というね。

ただ、本当は・・・違和感を何とかするための手段なのかもしれないですよ。

そして、この違和感を何とかする方法って、拾うではない、「別の方法もある」ということを僕はカウンセリングやセミナーでお伝えすることもあるんですよね。

「なぜ気になるのか」を紐解いて、「気づいても違和感が少なくなる状態」を目指す感じで。

気づいているものをなかったことにするのではなく、どう扱うか?を考えてみよう

そもそもこの話は、「気にしないこと」を目指すと、なんだか自分が冷たい、気遣いのない人間のように思えてしまう、という側面があります。

そして、気づいても意地でも動かないように、と自分をコントロールすることもまたストレスになりやすい。

しかし、自分が拾い続けてもしんどいことになる、というね。(もちろん拾うことで自分が成長できる、仕事を覚えられる、といった目的意識が伴っていれば別なんでしょうが。)

そもそも見えてしまう、気づいてしまうということ自体が悪いわけではないので。

それはある意味敏感なセンサーが作動しているとも言えますし、使い方をきちんと整えれば周囲のためにも自分のためにもなる要素です。

つまり、気づくことが問題ではない。

拾ってしまうことも問題ではない。(それは反応の結果、というだけ)

そう考えてみるのがいいんでしょうね。

その上で「じゃ、何があれば、自分自身の中の違和感が緩んで、自分のペースで動けるのか」を見つめていけるといいですよね。

ちなみに、その答えの一部を書くとしたら・・・

ここで起きている違和感には、怖れや不安が隠れていることが多いです。

要は、ほうっておくと良くない結果が起きる、という予測が成り立っている可能性がある。

その「良くない結果が起きる」という部分を自分だけが気づいている、という感覚を覚えている、という感じ。

これが慢性化している可能性があるんです。

「いつもそう感じている」という風に。

この自分が感じていることを、どういった形で処理するのか、どう周囲に伝えるのか、という具体的な対応策もあっていいですし。

そもそも、なぜそう感じやすいのか、という部分を見つめてもいい。

どちらにしても「気づくことをなかったことにはしない」という方向がいいでしょうね。

繰り返しになりますが、気づくことが問題ではないのですから。

最後に

ここまで読んで、「え?じゃ私の中で何が起きてるの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

でも、そこまで不安になる必要がないことでもあるんですよ。

あなたが先に気づいて、そっと拾ってきたから、回ってきた場面がきっとたくさんあるはず。

誰にも気づかれないまま、だとしたらけっこう切ないですけどね(^^;

ただ、その力がいろんなものを支えてきたことはきっと事実です。

だから、手放してほしいのは、気づく力じゃなくて。「気づいたら、自分が拾うしかない」という、凝り固まった反応の方です。

気づく。

でも、拾うかどうかは選んでいい。

その隙間を、少しずつ取り戻していく。

おそらく必要なのは、そっちなんですよね。

こちらの記事も参考にどうぞ

仕事で悩む女性
「頼まれると断れない」。いつの間にか“私の仕事”になっていた。〜引き受けすぎて燃え尽きる人の心の構造〜こんにちは。心理カウンセラーの浅野寿和です。 今日のコラムは「頼まれると、つい引き受けてしまう」。 このご相談をいただくと 「断り...
夫婦関係を直そうと頑張るほど、なぜか空回りする理由|”必死さ”と”諦め”は、同じ反応だった
夫婦関係を直そうと頑張るほど、なぜか空回りする理由|"必死さ"と"諦め"は、同じ反応だったこんにちは。 心理カウンセラーの浅野寿和です。 今日は、夫婦関係やパートナーとの関係を、なんとか良くしようと頑張っているのに、なぜか...
できる女性のシンボル
できる女性ほど恋愛がうまくいかなくなる理由| 頑張るほど“関係が回らなくなる”感覚についてこんにちは。 心理カウンセラーの浅野寿和です。 今日は、こんなテーマでコラムをお届けします。 「あなたみたいな人に彼がいないのが不...
ABOUT ME
浅野寿和 | 心理カウンセラー/トレーナー
恋愛・夫婦・仕事・生き方の中で、「ちゃんとやってきたはずなのに」そんな感覚を抱えやすい人のご相談を多くお受けしています。 相談しなくても日常が回っている。でも、どこかしんどい。そんなとき、丁寧にあなたの生きづらさやお悩みをほどいていきます。 キャリア17年・臨床10,000件超。東京・名古屋・オンライン対応

「自分らしく生きましょう」って、よく言いますけど。

その“自分らしく”が分からないから困ってるんですけどね。

ちゃんとやっているのに、なんとなく疲れる。

人に合わせられるけど、これでいいのかなと思う。

こういうとき、「あなたらしさとは何ですか?」と答えを探すより、

あなたの心がどう動いていたのか。ちょっと知りたくないですか?

7日間の無料メールセッション

「心はどう動いた?」から、
見えていなかった糸口を見つける。

恋愛や夫婦関係などの事例を通して、
僕がカウンセリングでどんなところを見ているのかを、
7日間のメールでお届けします。

心理観察ワークブックPDF付き
+ 約60分の特別編集版セミナー動画特典

ここから先、もう少しじっくり考えてみたい方へ

話を聞いてみたい

毎月第3木曜の夜、90分のオンライン心理学セッションを開いています。 心理学の知識だけではなく、「そういう見方もあるのか」と、少し見え方が変わるような時間です。

自分の状況を個別に整理したい

「相手のことが分からない」 「自分はどうしたらいいんだろう」 そんな今の状況を、心理学的な見立ても使いながら一緒に整理していきます。

また、イメージなどを使った心理療法(セラピー)もご提供します。

東京(品川駅前)・名古屋(金山駅前)での対面カウンセリングと、 全国向けのオンラインカウンセリング(Zoom)を行っています。