悪いところを指摘してくるパートナーの心理|なぜ“ダメ出し”のように感じてしまうのか
こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
パートナーに対して、こう思ったことはないでしょうか。
「悪いところを直してほしいだけなのに、なんでケンカになるんだろう」
言っている側としては、ただ“改善”してほしいだけ。
関係を良くしたいだけ、なのかもしれない。
なのに、話はこじれて、空気は悪くなって、最後はお互いに傷つく。
そして言われた側は、こう感じやすい。
「私じゃないほうがいいのかな」
「そんなにダメなら、もう無理ってこと?」
今日は、このすれ違いを、「正しい/間違い」ではなく、
関係の中で起きる“立ち位置のズレ”という視点から整理してみます。
Index
- 1 相手の悪いところを直してほしくて指摘しているのに、なぜケンカを導くのか
- 2 「直してほしい」という指摘は、かなりの確率で“ダメ出し”に近づく
- 3 ただ、指摘する側も「本当に直してほしい」と思っていることがある
- 4 なぜ人は“相手の欠点”が気になりやすいのか:自分を許していないときの心のクセ
- 5 指摘される側は、なぜか「指摘する側の内面世界」を覗かされる
- 6 「加害者・被害者」になりやすい構造:正しさの勝負が始まる
- 7 理解より先に、身を守るべきケースもあります
- 8 普段の関係が良いのにこじれるとき:結局、二人とも“自分を許せない位置”に立っている
- 9 じゃあ、どう関わるのがいいのか:まず「お願い」と「否定」を分ける
- 10 こちらの記事もどうぞ|関連記事
- 11 最後に:ケンカの原因は「言い方」だけではなく、立ち位置のズレかもしれない
相手の悪いところを直してほしくて指摘しているのに、なぜケンカを導くのか
結構な確率で伺うんですよね。特にご夫婦のご相談でしょうか。
「夫に(妻に)何度伝えてもダメなんです。
相手の悪いところを直してほしくて指摘しているのに、ケンカばかりになるんです。
どうして私の気持ちを理解してもらえないのでしょうか」
いわゆる「嫌なところを直してほしい」という話です。
もちろん、そのお気持ちは分かるんですよ。
「困っている」「このままだとしんどい」「関係を良くしたい」
そういう願いがあるからそう思われるんですよね、きっと。
ただ、この「直してほしい」という言葉には、ちょいとした罠が混ざりやすいように思うんです。
「直してほしい」という指摘は、かなりの確率で“ダメ出し”に近づく
まず大前提として。
悪いところを直してほしいという指摘は、ダメ出しに近いものになりやすいんですよね。
言っている側は「改善」「注意」「お願い」のつもりでも、
言われた側には、こう聞こえやすい。
- あなたのやり方はダメ
- あなたのままだと困る
- あなたは足りない
だから、言われた方が傷つくのは、ある意味当然かもしれないです。
もちろん、どうしても直してほしいと思うことだから伝えているのかもしれません。
本当は言いにくいけど、あえてそう伝えている方もいるかもしれない。
・・・相手が悪いと責め立てるつもりで伝えている方もいるかも。
ただ、不思議なことに、ここで言われた側は、かなりの確率でこう感じます。
「私じゃないほうがいいのかな」
これ、過剰反応というより、
“欠点を突きつけられたときの人間の自然な反応”に近いのかもしれません。
「あなたの一部が嫌」ではなく、「あなたが嫌」に聞こえてしまう。
関係が近いほど、なおさらです。
ただ、指摘する側も「本当に直してほしい」と思っていることがある
ここがこの話の少し難しいところなんですが。
いいか悪いかは別として、指摘する側が、本当に直してほしくて言っていることもあります。
意地悪がしたいわけじゃない。
相手を壊したいわけでもない。
むしろ、本人の中では、
- ちゃんとやってほしい
- このままだと困る
- 関係を良くしたい
そういう“切実さ”として出ていることもあります。
だから、ここで単純に「指摘する側が悪い」と片づけると、話が止まりやすいんですよね。
(もちろん、言い方や頻度や態度によっては、悪影響が大きいケースもあります。そこは分けて考えたほうがいいです。)
なぜ人は“相手の欠点”が気になりやすいのか:自分を許していないときの心のクセ
じゃあ、なぜそこまで「相手の欠点」を正したくなるのか。
一つの見立てとして、こういうことが起きている場合があります。
自分自身が、自分の欠点を許していない(受け入れたくない)とき、他人にもそうしたくなる。
たとえば、自分の中に
- ミスしちゃいけない
- だらしないのはダメ
- きちんとしていないと価値がない
みたいな“厳しさ”があると、パートナーの「ゆるさ」や「抜け」が、すごく気になりやすくなります。
要するに、相手の問題を見ているようで、自分の内側のルールが反応していることがあるんです。
……いや、そんなん知らんがな、ですよね。
言われた側からしたら、
「あなたの内面の話はいいから。こっちは傷ついてるんだけど」
って話になりやすいですよね・・・。
ただ、パートナーシップって、こういう不思議な“内面の写し鏡”みたいなことが起きるんですよね。
指摘される側は、なぜか「指摘する側の内面世界」を覗かされる
ここ、今日のポイントの一つです。
指摘される側は、なぜか、
「指摘する側の内面世界」
を垣間見ることになります。
たとえば、
相手がやたらと「ちゃんとして」「直して」「普通こうでしょ」と言ってくるなら、
その人の中には、
- ちゃんとしていない自分が許せない
- 崩れたら終わる気がする
- 正しさで保っている
みたいな緊張が隠れていることもある。
もちろん、これは推測でしかありません。
すべてのケースがそう、とは言えません。
ただ、少なくとも、
「指摘」は、相手の性格だけではなく、相手の“世界の見え方”を連れてくる
という点は、関係を理解する上で役に立つことがあります。
▶関連記事:「パートナーは感情を共有する」という視点で関係修復を考えてみる
「加害者・被害者」になりやすい構造:正しさの勝負が始まる
指摘が続くと、関係はこの形に入りやすいです。
- 指摘する側:私は困っている(被害者)/相手を責める(加害者)
- 指摘される側:責められている(被害者)/直さない(加害者)
つまり、両方が被害者になり、両方が加害者になる。
この形に入ると、どちらが正しいかの話になりやすい。
そして正しさの勝負は、だいたい勝っても負けても、関係が消耗します。
「勝った側」も、どこか虚しい。
「負けた側」は、もっと傷つく。
それでまた、次の指摘が増える。
……関係が“修正”ではなく、“監視と防衛”のモードに入るんですよね。
理解より先に、身を守るべきケースもあります
ここは丁寧に分けておきます。
もし指摘が、
- 人格否定(「お前はダメだ」「価値がない」等)
- 威圧・脅し・怒鳴り
- 支配(交友関係の制限、監視、金銭・行動のコントロール)
- 繰り返しの侮辱
に近い形になっているなら、
関係を整える以前に、距離・相談先・安全を優先していただきたいです。
(友人・家族・専門窓口・自治体の相談など、外部の助けを使ってください。)
一方で、そこまでではなく、普段の関係は良い。
でも、指摘が増えるとケンカになる。
そういうケースなら、次の視点が役に立つかもしれません。
普段の関係が良いのにこじれるとき:結局、二人とも“自分を許せない位置”に立っている
ここで「立ち位置」の話に戻します。
指摘する側は、
「正して、整えて、良くしようとする位置」
に立ちやすい。
指摘される側は、
「否定されないように守る位置」
に立ちやすい。
すると、二人の間で起きるのは、愛情のやり取りではなく、
- 正しさ
- 防衛
- 評価
のやり取りになっていきます。
このとき、何が一番しんどいかというと、
相手も自分も、自分を許せなくなるんですよね。
指摘する側は、相手だけでなく自分にも厳しいまま。
指摘される側は、「私はダメなのかもしれない」という位置に引きずられる。
つまり、論点は「直す/直さない」以前に、
二人とも
“自分を許せない(パートナーとして存在する価値がないと思える)位置”に立つ、
というズレが起きている可能性がある、ということです。
じゃあ、どう関わるのがいいのか:まず「お願い」と「否定」を分ける
いきなり仲良く、は難しいかもしれません。
でも、少なくともここは分けたほうがいいです。
「直してほしい」=「あなたがダメ」になっていないか
指摘する側は、もし関係を良くしたいなら、
- 何が困っているのか(事実)
- どうしてほしいのか(お願い)
- どんな気持ちなのか(感情)
を、なるべく混ぜないほうが伝わりやすい。
指摘される側は、
- これは「人格否定」なのか
- それとも「困りごとの相談」なのか
を、いったん切り分けて受け止めたほうが、心が壊れにくいです。
……とはいえ、実際の場面では難しいですよね。
言われたら反射で傷つくし、言う側も反射で責め口調になる。
なので、ここで目標を大きくしすぎないのがコツです。
「勝たない」
「壊さない」
「自分を削らない」
まずはここからで十分だと思います。
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最後に:ケンカの原因は「言い方」だけではなく、立ち位置のズレかもしれない
「相手の悪いところを直してほしい」という話は、表面だけ見ると、コミュニケーションの問題に見えます。
でも実際は、
二人がどの位置から相手を見ているか
の問題になっていることが多い。
指摘する側は、「正す位置」に立ってしまい、
指摘される側は、「否定される位置」に立ってしまう。
その状態では、愛情があっても、言葉が刺さります。
もし今、普段は関係が悪くないのに、指摘になるとこじれるなら。
「どっちが正しいか」より、
「二人とも、自分を許せなくなる位置に立っていないか」
ここを一度見直してみると、関係の見え方が変わってくるかもしれません。
うまく整理できないときは、第三者に話してみるのも有効です。
二人の中だけで回すと、だいたい“正しさ”が強化されやすいですからね。
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