恋愛の心理学

「偽物感が苦しい」自分は偽物だと感じてしまう理由とその心理

偽物感(自分は偽物だ)と感じて苦しくなる、というご相談

偽物感で苦しむ女性

「偽物感(自分は偽物)があって、自分はいつも人を騙していたり、いつも自分を偽っているような気がする」。

これ、なかなか人に言えないけれど、しかし深刻な気持ちの問題のひとつなんですね。

冷静に考えてみると、毎日が満たされていないというわけではないし、自分自身でも努力を積み重ねてきたという過去がある。

が、しかし、なぜか自分の能力や実績、時には人間的な魅力を受け容れたり認めることができず、苦しんでしまうわけです。

これ、本当に辛い状態だと僕は考えますし、できるだけ早い心のケアがあっていいと考えるんですね。

そこで今日は「自分は偽物だと感じて苦しくなる心理」についてコラムにまとめます。

よろしければどうぞ。

偽物感で悩む事例

まず、偽物感を感じている状態が具体的にどのようなものなのかについて、いくつかご紹介します。

自分は他人から見れば「成功」しているのでしょうね。

ただ、いつも「今の成功は自分の実力によるものではなく、幸運、いや偶然」としか思えないのです。

いつも「今は良くても、本当は力のない自分はそのうちダメになってしまうだろう」という恐怖ばかり感じます。

立場上、他人には平然とした自分を演出していますが、ずっと不安と戦い続けています。

今の私は私生活も、仕事面も充実している、と思うんです。

ただ、今の私の幸せは、パートナーや親、同僚や上司など、周囲のおかげで、自分で成し遂げたものではないんです。

「私だけでは何もできない」と感じてしまいます。

そんな苦しさをなんとかしたくて、パートナーや親友、上司や親にも相談してみたんですが

みんな「気にし過ぎだよ」と。

本当に私が気にしすぎているだけなんでしょうか・・・。

自分がやることなすこと、全部ウソのように感じる。

周りから評価や称賛を向けてもらうほど、それが重荷としか感じない。

それは全て虚像の自分に向けられているとしか感じないのです。

自分の声、自分の言葉、自分の考え、今まで自分が蓄積してきた経験、ノウハウ。

それらの全てが間違っていて、ただ自分の恥を晒しているだとか、他人を騙しているようにしか感じられない。

人を騙しているわけではないと思いたいが、しかしいつも自分に幻滅してしまう。

偽物感を感じて苦しくなる心理

偽物感(自分は偽物だ)と感じて苦しくなる。

その理由だけを考えるならば、「自分を過小評価しすぎてしまう」という部分にあるといえます。

要は、自分の中で「自分に対する疑い」が生じてしまい、自分をより良く評価できなくなってしまっているのです。

だから、自分の成功や実績を、「運・偶然」や「周囲のおかげ」といった外的な要因と結びつける意識が強まるのでしょう。

逆に言えば、自分の成功や実績を、自分の才能や努力など、内的な要因と結びつけることに葛藤を感じているとも言えるんです。

人によってはそんな気にもならない、という感じなんだと思うのですけど。

だから、どんな成功も幸せも

「私の力で成し遂げたことではない感覚」

がやってくる、と考えられます。

この状態を「自己肯定感が低下している状態」と呼ぶこともできるでしょう。

自己肯定感とは、ありのままの自分で良い、と感じられていることなので。

ただ、僕が学ぶ心理の世界では

「必死に努力し、成功や幸せを手に入れた状態になると、なぜか自分を疑ってしまうようにもなる」

なんて考え方があります。

つまり、かつては自己肯定感を感じられていた人であってもこの状態に陥ることはあり得る、と僕は考えるのです。

偽物感が強いと加害者意識(罪悪感)も強まる

また、偽物感が強くなる事による苦しさは、罪悪感が生じるという点からも見ることができます。

が、ここでの罪悪感は「加害者意識」であることが多いんです。

罪悪感って、いわば「許されたい」と思えるものと、なかなかそう思えないものがあるのです。

偽物感で感じる罪悪感は「おそらく自分は許されない」と強く感じやすいのです。

なぜなら、感情レベルで

「自分は人を騙している」「自分の影響力はまさにペテン」

と感じているからですね。

「偽物なのは自分、なのに苦しみ悩むなんて自分がおかしい」。

そう感じてさらに自分を責めてしまうからですね。

ただ、冷静に考えてみれば、偽物感を感じていても、自分の行動などが偽物だとは限らないわけです。

ここでの問題はやはり「偽物だと自分が感じていること」なのですよね。

偽物感が禁止を作り、禁止が生きづらさを作る、という問題

また偽物感が強くなると、自分の行動に強い制限をかけるようにもなります。

自分がやりたいことがあったとしても

先に「やってはいけないこと」「考えてはいけないこと」を考え、

その後で残った選択肢を選ぶような生き方をするようになるのです。

例えば、新しい企画が思いついたとしても、リスクはやってはいけないことから先に考えてしまうんです。

だから、自由な発想が阻害され、どんどん制限がかかった中で物事を考えるようになる。

例えば、そろそろ結婚したいと考えているのだけれど、結婚することの弊害や自分の中にある恐ればかり見てしまう。

だから、自由に幸せな未来を想像することが難しくなり、行動する前から喜びがなくなってしまう。

このような物事の選び方は禁止(タブー)の心理とも言えるもの。

偽物感が強くなると、自分に何かしらの禁止を課しやすくなるんですね。

偽物感が強すぎると何もしたくなくなる、という問題

もし、自分を過小評価し、偽物感を感じているならば

おそらく「隠れていたい」という気持ちが生じても不思議ではないんです。

例えば

  • 人前に出ない方がいい。
  • 上の立場に立たない方がいい。
  • 自分の成功体験を語ってくれと言われても、それは語らない方がいい。
  • ときには、最愛の人や相棒と呼べる仲間であっても距離を置くべきだ。

そう考えてしまうこともあるでしょう。

このような「隠れたい」という気持ちが

「失敗したら周囲から批判されるに違いない」

という思い込みを作り、新しいことにチャレンジへのためらいを作ることがあります。

それが結果的に自分自身の幸せ、成功、キャリア形成などの障害となる場合もあるわけです。

また、人によっては「隠れたい」、つまり

「何もしない(何もしたくない)」

という傾向が出てくる場合もあるんです。

そこではまるで

「自分は他人から良い評価を受けてはいけない」
「他人の期待は重荷」
「ちゃんと結果が出せないと人から散々なことを言われるだろう」

そんな不安を抱えることにもなるんです。

よくあるケースとしては、人事評価における自己評価が苦手すぎて書きたくない、というもの。

自覚がないところで

「自分と向き合うと偽物な部分しか見えない(ろくなものが出てこない)」

なんて風に感じていると、自分で自分を評価することに抵抗を感じるわけです。

偽物感は「自分の変化を押さえつける理由」になる

偽物感が強まっている人ほど、無意識に

「自分は変化してはいけない(これ以上成功してはいけない、成長してはいけない)」

と思い込んでしまうことが多いです。

要は、これ以上の自分の成長や成功が怖くなっているので、自分の変化を自分で押さえつけるようにもなるのです。

「今の自分を続ければ、自分が何も変わらなければ安心だ」と思い込むように。

そのように感じる原因としては、次のような経験などがその背景にあることが少なくないんですね。

例えば

  • 自分の成功に対する周囲からの嫉妬・ねたみで苦しんだことがある
  • いじめや仲間外れによって大変に傷ついたことがある
  • 失敗したときに周囲から罰されたり、馬鹿にされた経験が多い
  • 今以上のなすべきこと(業務量)増えたり、難度の高い課題を与えられたりすることに対する抵抗感

これは、自分の心を守ろうとしているからこそ起きること、と考えることもできます。

が、実際は否定的な意味合いで理解し、「自分はだらしない」だの、「弱気」だの、「自分勝手」なんて思う真面目な人も少なくないようです。

偽物感を手放すためにできること

偽物感を手放した女性

ここからは、「偽物感をできる限り手放すためにできること」をまとめていきますね。

「今、できること」に意識を向けるように心がける

偽物感が強まっているときは

過剰に先々のことや人への影響を考えすぎないことも大切なことだと僕は考えます。

偽物感に限らず、僕たちはネガティブな思考に支配されてしまうと不安が先立ち、「目の前にある物事に集中できなくなること」が多いです。

特に、冷静になってみつめると考える必要のないことにまで意識が向いていることもしばしば。

なので、仕事でもプライベートでも

「目の前にあることに集中していくこと」

に慣れてみてほしいのです。

ある程度慣れると、今の自分の能力、価値、過去の経験の意味などにも徐々に気付けるようになってきますから。

自分を支えてくれる人、頼れる人と関わる

偽物感が生じているとき、僕たちはとても孤独です。

かつ自分の責任を一人だけで背負い込み、更に自分に強い期待をかけ、そのままの状態で生きようとする、まるで孤立している感覚が強くなることもあります。

なので、普段から自分を支えてくれる人、頼れる人、相談できる人、自分よりも優秀な人、などと関わることもおすすめです。

これは自分に対する過剰な期待や責任感を緩和することに効果があると考えられます。

要は、誰か知恵や肩が借りられる、と思えることが、時には良い効果を生むということですね。

完璧なものはないと理解する

どれだけ成功している人も完璧ではないのです。

しかし、偽物感のフィルターで眺める「成功している人」は、完璧に見えてしまうのです。

だから、偽物感が強まると、「完璧さ」を自分に求めるようになることがあります。

また、完璧な成功者のイメージは、まるで

「本来あるべきだった自分の姿」

と理解されることも多いようです。

つまり、本来あるべき姿ではない自分を偽物だと感じる、といいますか。

そんなときこそ「完璧はない」と理解してみてください。

これは、自分や他人も過剰なプレッシャーで追い込まないために大切なことです。

もし、完璧さは求めてしまっても、そんな自分を責めず、次につなげていきましょう。

自分の悩みを話せる場所を持つ

偽物感で苦しむ人ほど「こんなことを感じているのは自分だけ」と感じやすいものです。

それぐらい人に話しづらい、理解してもらいづらい感覚的な悩みなんですよ、偽物感って。

前にある他人から見れば「そんなことないし、そう思う必要がない」わけですから(あなたを信頼している人ならそう思うでしょう。)

だからこそ、この偽物感が隠れた問題になる前に

自分の悩みを話せる場所を持つことも考えてみてほしいんですね。

そもそも偽物感とは自分の内面に生じるもの。

それを緩めていくことを考えるならば、誰かとの関わり、人に話して理解されるという経験は重要だと僕は考えます。

また、話せないことが話せる、相談できる安心感にも意味がありますしね。

もし一人で悩まれていらっしゃるならカウンセリングなどの選択肢もご検討いただくといいのかもしれませんね。

自分を認めながら、誰にでも起き得ることだと理解する

実は、偽物感を感じることは誰にでもありえることです(その程度の差はあれど)。

一節には

「自分が偽物のように感じて悩むのは、自分自身が成長のため、一歩踏み出した時に起こる」

という考えもあるそうです。

だから、いい意味で「特別なことではない」と理解できるだけでも、楽になれることがあるやもしれません。

また、自分を認められなくなっている状態でもありますから、コツコツ自分のありのままの状態を認める習慣を持つといいでしょうね。

僕のサポートの中でも、丁寧に自分を認めていく視点は大切にしています。

最後に

最後に、偽物感を感じているからと言って、怠惰でいい加減な人間だと言い切れるものではありませんよね。

ただ、もし、あなたが、いわゆる謙遜以上の

自分への過小評価が止められなくなっているならば。

そこに何らかの手当なりケアがあっていいのではないでしょうか。

もう一度、いわゆる「人生の目。(ヴィジョン)」が描けるように

そして自分を少しづつ信じられるになっていくために

今回のコラムがなにかお役に立てれば幸いです、

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