夫に当たってしまう自分が嫌になるとき|「愛しているなら受け止めて」が届かない理由
こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
今日もネタ募集コーナーにお寄せいただいたご質問にお答えします。
テーマは「感情的にあたってしまう私と、黙ってしまう夫」です。
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いただいたご質問はこちら
浅野さん、はじめまして。
夫のことで、自分でも整理がつかないので相談させてください。
私、ここ最近、些細なことで感情的になって、夫にきつく当たってしまうことが増えました。
頭では「これはよくない」と分かっているんです。分かっているのに止められません。
夫は、優しい人です。逃げない人だと思います。私が荒れても、怒鳴り返したりしない。ただ、黙るんです。それで、しばらくすると「ちょっと疲れた」と言って、部屋に行ってしまう。
その様子を見ていると、たまらなくなって。この前、つい聞いてしまったんです。
「私のせい?私と一緒にいるから、あなたは辛いの?」
夫は、何も答えませんでした。ただ、困ったような顔をしていました。
その顔を見て、私、余計にわからなくなりました。
愛しているなら、受け止めてくれるものじゃないの?そう思ってしまうんです。でも、それを求めること自体、私が重いんでしょうか。
もう、どうしたらいいのか分かりません。
ネタ募集ネーム:YOUさん(一部、個人情報部分は編集させていただきました。)
まずはご自身の「心の支え・ケア」を優先してくださいね
ネタのご協力ありがとうございます。
まず、YOUさん、かなり今しんどい状態のように僕は感じたんですよ。
特に、「私のせい?」の一言が出てくるって、相当ですからね。
今、かなりお辛いのではないでしょうか?
あなたもきっと口に出したくない一言だったんじゃないかと思って、ご質問を読ませてもらいました。
だから、まずは「ご自分の気持ちの支え」を得てくださいね。
信頼できる人やカウンセラーなどに実際に話す、ということを優先していただければと願っています。
一人で考えると、認知の仕組みで、どうしても悪い発想ばかり浮かびます。
それはYOUさんのせいではなく、そういった仕組みなんです。
まず、その流れを止めるうえでも、ご自身の気持ちや心のケアを最優先にお考えください。
僕でよければいつでもご予約くださいね。
その上で、今日は記事での回答ということなので、ある程度突っ込んだ話も解説として書かせていただきます。
ただ、この解説は何かを裁く意味で書いてはいません。
善悪判断は抜きにして、「こういった事が起きているかもしれない」という話をまとめさせてもらえれば、と思っています。
今日の見立てのポイントは「どうすれば関係が良くなるか」の前にある「前提」にあります
さて、こういうご相談に対して、一般的なセオリーとしては、
「お互いにもっと歩み寄りましょう」「思いやりを持って接しましょう」
という話になることが多いと思います。
それは大正解なんですけど、それはある意味「結論」だと思っています。
そして、「愛しているなら、受け止めてくれるはず」という気持ちも、僕なりによく分かります。
愛されることと受け止められることが、ワンセットに感じられるのは、自然なことだと思うんです。
ただ、今日は「その手前の話」をしたいと思います。
「どう歩み寄るか」「思いやりを持って接する」が、きちんと効果的に作用するように、いま起きていることの前提を紐解いて、その上でお互いが自分を責めないようになること。
それが、どうやったって歩み寄るために必要なことだと僕は思うからです。
逃げない夫が、心の中で抱えていること
ここからの話は、いただいたご質問から僕なりに読み解いた話なんですけどね。
「私のせい?」という言葉を聞いた瞬間、旦那さん、たぶん息が止まったかもしれないですね。
いや、あなたを責めているわけじゃないんです。
それくらい、あの問いは「答えようがない可能性がある」という話なんです。
もしかすると、ご主人さん、こう思っているかもしれません。
「受け止められるなら、受け止めたい。ただ、この状況がいつまで続くんだろう」。
……これ、多くのご主人さんが思っているけど、なかなか口に出しにくいことのようです。
口に出した瞬間、「相手に対する思いがない」と誤解される可能性があるからですね。
だから、「黙る」人も多いんじゃないか、と。
相手の顔色をうかがう、という共通点を持つ二人
そして、もう一つ。
「毎日、妻の顔色をうかがうしかできない自分が、自分らしくない」。
そんなお気持ちもご主人さんの中にはあるのかもしれない。
あくまで、かもしれない、ですけどね。
ただ、これはかなり不思議なことのように思えるかもしれませんが、
夫婦って「今は分かりあえていないように見える状態でも、何かを共有している」ということが多々起こります。
お互いに近い距離で過ごしていれば、影響を与え合っていますからね。
違う部分もあるけれど、共有している感情、価値観もあったりするんです。
でも、なかなかそこに気づくことはないかもしれません。
たとえば・・・
「こういう自分になっていくことを想定して結婚したわけじゃなかった」。
お互いがそう思っていても不思議ではないケースなんです。
つまり、今のお二人は「こんな自分になるはずじゃなかった」という思いを共有している可能性がありそう、ということ。
だから、相手に問いかける。
だから、相手の前で黙る。
もし、ご主人さんが、
「二人で一緒に何かを一緒に作りあげていくような、前向きな夫婦関係を望んでいた」
けれど、
「今の自分は、ただ妻の顔色をうかがってばかり・・・」
そう感じているなら、「なぜ自分は、この状況を選び続けているんだろうか?」といった疑問を持っても、不思議じゃない、ってことなんです。
それは、結婚したこと自体を後悔している、という話より・・・
「どうしてこうなってしまったんだろう」
という解けない謎と向き合っている感覚なんだろうと、カウンセリングの現場にいると思うことが多いですよ。
もしかすると、旦那さんが黙って部屋に行くのは、そういった疑問を一人で考えているか、静かな時間を使ってそう思わないように退けているか・・・
そんなサインかもしれません。
そして・・・もしかすると、YOUさんも、ずっとご主人の顔色うかがっていなかったでしょうか?
あなた自身も、ご主人様のそばにいる意味、について考えたことはなかったでしょうか?
「私のせい?」という言葉が持つ意味と威力
そんな問いを持っている状態に
「私のせい?私と一緒にいるから辛いの?」と聞かれると・・・
これはご主人さんだけでなく、誰しもが、気持ちの面で詰んだ感じがするかもしれない。
「はい」と言えば、相手を深く傷つける。
「いいえ」と言えば、自分の中の本音に嘘をつく。
だから、どちらも選べない。
なぜなら、まだハッキリとした答えが自分の中で出ていないから。
だから、黙る。
もちろん「私のせい?」と聞きたくなったあなたを責めたいわけじゃありません。
そう聞きたくなる気持ちも、個人的に分かりますから。
そうではなく・・・
「あなたも、あなた自身にそう問いかけていませんか?」
僕はそう問いかけさせてもらいたいのです。
これは良し悪しの話じゃなく、もしかするとお互いがそういった心理状態なのかもしれない、と見立てた結果です。
あなたも、「このままじゃいけない」と思っている
ここで、視点をもう少し「奥様側の気持ち」に戻しますね。
今日、いちばんお伝えしたいのは、ここから先です。
感情的にあたってしまうこと、あなた自身も「よくない」と分かっていらっしゃるんですね。
ご相談文にもはっきり書いてありましたし。
ただ、感情の置き場がなくて・・・
「いちばん近くにいる、いちばん安全だと感じられる人」
・・・つまり旦那さんに向かってしまているようです。
これも、ただ責められることじゃないと思うんです。
見方を変えれば、「あなたは信頼できる人にだけ、その心を内を見せている」ということでもありますから。
信頼していない相手には、そもそも見せませんよね?
ただ、ここに問題があるとしたら・・・
おそらく「あなたの中でどんどんマイナスな感情が膨らみ続けてきた」という状況にあると思うのです。
そして、そこにはきっと事情があるはず。
なぜそんなにマイナスの感情が膨らみ続けているのか・・・それは人それぞれできっと違います。
たとえば・・・
- 結婚後すごく孤独感を感じている。
- 結婚してから、社会とのつながりが切れた感じがして辛い。
- 子育てのストレスが溜まっている。
- 私も黙って気持ちを我慢するタイプだった。
- 昔から「相手が言うことを聞いてくれるかどうか」だけで信頼を推し量ってきた。
- もともと自分のことがあまり好きじゃなかった。
- 昔から「大切な人は離れていくのでは?」という不安を感じやすい。
ここに書いたことは一例ですが、なにかしらの事情があるんだと思います。
そして、この事情を深く理解すると、また別の事情がでてくることもありますよ。
そういった内面の事情にきちんと手当をすることは、パートナーを信頼したり、自分の感情に振り回されたくなるためにとても重要なことだと思います。
つまり、あなたにできることも、まだまだあるのではないでしょうか。
信頼の定義が、混乱している
ここが、たぶん今回の回答の「核心部分」になると思います。
今、お二人の間で、「信頼」の意味が、少し混乱しているかもしれません。
ちょっと考えてみてほしいんですけれども。
「信頼しているから、我慢する。感情を相手にぶつける。」
・・・これ、よくよく考えると、ちょっと混乱している感じがしませんか?
逆に、
「信頼しているから、前向きに受け止め合う。素直に気持ちを伝える。」
この形なら、信頼がちゃんと機能しているように見えませんか?
今のお二人は、おそらく同じ「信頼」という土台の上に立っているのかもしれません。
でなければ、夫婦であることは難しいと思いませんか?
ただ、その土台の中に混乱が生じていると、そこから出てくる言動が、なぜかこじれる方向に向かってしまう。
誰かが悪いという話じゃなく、そういう事情も、お二人の間にあるんだと思います。
その中を、お二人はお二人なりに歩んできた。
そう考えるとしたら、お二人のいままでが間違っているわけではないですよね。
ただ、どこかで「お互いに自分に負荷を掛ける形」が続いていた。
だから、受け止めきれなくなった・・・。
そんなことも実際にあるようです。
そこから見つめ直していくこともまた、夫婦関係の改善には欠かせないことだと僕は思っていますよ。
最後に
最後になりますけども。
たとえ夫婦であれ「相手の感情を受け止めること」は、かなりパワフルな行為なんですよ。
17年カウンセラーをやってきた僕が言うんです。間違いありません(笑)。
相手の影響を受けずに話を聞くなら、比較的やりやすい。
しかし、長い時間を共にする夫婦が、お互いの気持ちを受け止めていくことは、それとは意味が異なりますよね。
だから、ご夫婦で、揉める、言い合いにある、すれ違う、ということは実際にあり得るし、上手く相手を受け止められない事も起きえる。
それは問題なのではなく、誰にでも起こり得るエラーではないでしょうか?
しかし、そこで自分に対して「愛しているなら受け止められるはず」を根性論のように使うと、別の意味で「無理が出る」気がします、僕は。
だとしたら、お互いが、自分の中で何が起きているのかを、少しずつ見つめ直しながら、一緒に組み立てていく方向を僕はオススメしたいですね。
まずは「自分の事情」を知ることです。
そこを知らずに相手の事情ばかり想像しても、なかなかうまく回りませんから。
その上で、二人が何を共有しているのかをちゃんと見つめることです。
ここが分からないと変化を起こしようがないので。
それがお互いに必要な時期だから、夫婦の間に距離ができることもあるみたいですよ。
ただ、この「自分の事情を知る」という作業、一人でやろうとすると、けっこう難しいんですよね。
さっき挙げたような事情の候補、あれ、自分では気づきにくいものばかりなんです。
孤独感も、我慢の癖も、信頼の測り方も、渦中にいると、案外見えません。
そして、旦那さんの側にも、同じだけの事情がある。
お互いが、お互いの事情を知らないまま、顔色だけをうかがい合っている。
それが今の状態なんだとしたら、そこから抜け出すのに、二人だけの力だとけっこう時間がかかることもあります。
もし、今のをなんとなくやり過ごすのではなく、きちんと見つめてみたいと思われたら、一人で抱え込まずに、誰かと一緒に見てみてください。
僕でよければ、いつでもお手伝いしますよ。
それでは、今日は必死に書いていたら、いつもより長くなってしまいましたが、ここまでとしますね。
ご質問ありがとうございました。
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「もっとうまく関わり合えないだろうか」
この17年、そういった方のお話を沢山うかがわせていただいてきましたよ。
どんなに辛い状況になっても、多くの人の心の根っこにはまだ愛や優しさがある。
僕はそう思っています。
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