さて、今日は「自分を大切にする」という事について、改めて解説したいと思います。
「自分を大切にしましょう」という言葉は、よく耳にするかと思います。
しかし、具体的にどういうことか、皆さんはご存知でしょうか?
美味しいものをいただいたり、お好きなことをされたり、リフレッシュのための時間を取られたりすることも、その一つの形かもしれません。
ですが、本当の意味で自分を大切にするということは、もっと深く、日々の選択に関わることだと私は考えています。
なお、この記事では、「自分を大切にする」ということを
「ご自身の心と体の健康を維持し、精神的な幸福感を高め、自分らしく生きるために、意識的に選択し行動すること」
と定義した内容をお伝えしていきます。
今回は、心理カウンセラーの視点から、「自分を大切にする」ということの真髄を探り、今日から実践できる10の具体的なレッスンをご紹介したいと思います。
Index
なぜ私たちは「自分を大切にする」ことが難しいのでしょうか?
「自分を大切にする」ことは、幸せな人生を送る上で非常に重要です。それは、過去の傷を癒したり、ただ好きなことだけをすることとは少し異なります。
私が考えるに、真に自分を大切にするとは、
「ご自身の人生を心から幸せにする選択を、意識的に積み重ねていくこと」です。
では、なぜ私たちは、このシンプルでありながら大切な「自分を大切にする」ということが、難しいと感じてしまうのでしょうか?
その背景には、意外な心理が潜んでいます。
それは、「慣れ親しんだ不快感を手放すことへの抵抗」です。
私たちは、たとえそれが自分にとって良くないと分かっていても、長年続けてきた習慣や思考パターンを変えることに、無意識の抵抗を感じることがあります。
まるで、着慣れた古い服のように、心地悪くても手放せない。自分を大切にしない生き方に慣れてしまっている場合、そこから抜け出すには、ある程度のエネルギーが必要になることがあるんですよね。
では、更に「自分を大切にすることが難しい」と感じる理由に付いて解説していきます。
変化への抵抗とコンフォートゾーン
先ほどもお伝えしたように、私たちはたとえ不快な現状であっても、慣れ親しんだ状態を維持しようとする心理が働きます。
これは心理学で「現状維持バイアス」と呼ばれるもの。
変化は未知の領域であり、無意識のうちに恐れを感じ、居心地の良い(と感じている)コンフォートゾーンから抜け出すことを躊躇してしまうことがあるんですね。
損失回避の法則
また、心理学には「損失回避の法則」というものがあります。
これは、人は得る喜びよりも失う痛みの方を強く感じるという法則です。
自分を大切にするために何かを始めようとする時、「もし失敗したらどうしよう」「何かを失うかもしれない」といった不安が先に立ち、行動をためらわせてしまうことがあります。
認知的不協和
長年、自分をないがしろにしてきた人ほど、急に「自分を大切にしよう」と意識すると、過去の自分の行動と矛盾が生じ、「認知的不協和」を感じることがあります。
この不快感を解消するために、無意識のうちに「やっぱり自分には無理だ」「自分を大切にするなんて甘えだ」といった考えに陥ってしまうことがあります。

学習性無力感
過去に何度か自分を大切にしようと試みても、うまくいかなかった経験を持つ人は、「学習性無力感」を抱えてしまう場合があります。
これは、「何をしても無駄だ」と感じてしまい、新たな行動を起こす意欲を失ってしまう状態です。

愛着スタイル
幼少期の親子関係や養育環境は、自己肯定感や自己尊重の念を育む上で非常に重要だと言われています。
愛情不足や虐待、過干渉などの経験は、自己肯定感を低くし、「自分には価値がない」といった信念を形成してしまうことがあります。
また、不安定な愛着スタイルを持つ場合、他者との関係性において自分を大切にすることが難しくなる場合があるんですよね。
自分を大切にすることのメリット
自分を大切にすることは、心身の健康、人間関係、仕事など、人生のあらゆる側面においてポジティブな影響をもたらします。
- 精神的な安定と幸福感の向上 自分を満たすことで、心の余裕が生まれ、ストレスや不安を感じにくくなります。自己肯定感が高まり、幸福感が増します。
- より良い人間関係の構築
自分を大切にすることで、他者にも優しくなれ、健全な境界線を引けるようになります。これにより、より良い人間関係を築くことができます。
- 仕事や学習への意欲向上
心身が健康な状態であることは、集中力や創造性を高め、仕事や学習への意欲向上に繋がります。
- 困難を乗り越える力の向上
自分を大切にすることで、精神的な回復力が高まり、困難な状況にも立ち向かう力が養われます。
誤解されやすい「自分を大切にすること」
また、自分を大切にすることは多くのメリットがある一方で、誤解されたり、実践する上で課題が生じることもあります。
例えば、「わがまま」との混同。
自分を大切にすることを、他者の気持ちを考えないわがままと捉えてしまうことがあります。しかし、本来の自己尊重は、他者への配慮と両立するものなんですよね。
他にも「自分を大切にする」ことを完璧にこなそうとしてしまい、少しでもできないと自己嫌悪に陥ってしまうことがあります。
また、自分を大切にする効果は、すぐに現れるとは限りません。継続的な取り組みが必要であることを理解しておく必要があります。
今日から実践!「自分を大切にする10のレッスン」

それでは、今日から皆さんの人生に取り入れていただきたい、「自分を大切にするための10のレッスン」をご紹介します。
レッスン1:ご自身に優しく、理解者であってください
最も大切なレッスンは、ご自身が一番の味方になることです。失敗したり、落ち込んだりした時、頭ごなしに責めるのではなく、「大丈夫ですよ」「よく頑張りましたね」と、温かい言葉をかけてあげてください。
まるで、大切な友人を励ますように。
レッスン2:心と体の声に耳を澄ませ、休息を与えてください
頑張りすぎることは、必ずしも良いことではありません。疲れたと感じたら、無理せず休息を取ることが大切です。
質の高い睡眠、リラックスできる時間、心身を休ませることは、自分を大切にするための基本となります。
レッスン3:ありのままの自分を受け入れてください
完璧な人間はいません。ご自身の良いところも、そうでないところも、全てひっくるめて受け入れることが、自己肯定感を高め、自分を大切にすることに繋がります。「これでいいんだ」と、心の中でそっと語りかけてみてください。
レッスン4:心理的な癒着を解消しましょう
誰か特定の相手(親御さん、パートナーなど)に対して、過度な感情的な依存や一体感を持っている状態を「心理的な癒着」と呼びます。
このような癒着があると、ご自身の気持ちよりも相手の気持ちを優先してしまったり、相手の顔色ばかりを気にしてご自身を犠牲にしてしまうことがあります。
健全な自立心を育み、相手との適切な距離感を保つことが、自分を大切にするためには不可欠です。

レッスン5:執着を手放しましょう
過去のトラウマや、終わった恋愛、叶わなかった夢など、心に引っかかる不健全な執着は、あなたのエネルギーを奪い、前に進むことを妨げます。
手放すことは勇気がいることですが、新しいご自身を迎えるためには必要なプロセスです。

レッスン6:自己犠牲は美徳ではないと知ってください。
他の方のために頑張ることは素晴らしいですが、ご自身の心身を犠牲にしてまで行う自己犠牲は、決して健全なあり方ではありません。
まずはご自身を満たすこと。
そうすることで、本当に周りの方を大切にできるようになります。
レッスン7:「ま、しゃーないな」という気持ちも大切にしてください
完璧を目指すことは大切ですが、時には「ま、しゃーないな」と肩の力を抜くことも必要です。
完璧主義は、あなたを苦しめる原因になることもありますからね。
時には、少しの妥協も自分を大切にするための選択肢だと受け入れてみてください。
レッスン8:「正しさ」よりも「幸せ」を選ぶ勇気を持ちましょう
社会的な規範や他の方の意見に縛られ、「正しい」選択をしようとしすぎるあまり、ご自身の心が本当に求めている「幸せ」を見失ってしまうことがあります。
時には、「正しい」ことよりも、「ご自身が本当に幸せになれる」選択をすることが、自分を大切にすることに繋がります。

レッスン9:リーダーシップを発揮してください
ご自身の人生のリーダーは、あなた自身です。他の方に流されるのではなく、ご自身の価値観や目標に基づいて、主体的に人生を選択していくこと。
それが、自分を大切にするということの表れです。
レッスン10:完璧でなくてもご自身を許してください
自分を大切にしようと努力していても、いつも完璧にできるとは限りません。
「今日はできなかったな」と落ち込むこともあるかもしれません。
そのような時でも、ご自身を責めすぎず、「また明日から頑張ろう」と、優しく許してあげてください。
「自分を大切にする」ことから始まる、幸せな人生
「自分を大切にする」ということは、決してわがままなことではありません。
むしろ、ご自身を満たすことで、周りの方にも優しくなれたり、より良い人間関係を築けたりと、良い影響をもたらします。
今回ご紹介した10のレッスンを参考に、ぜひご自身の人生で「自分を大切にする」ことを意識してみてください。小さな変化の積み重ねが、きっとあなたの人生をより豊かで幸せなものにしてくれるはずです。
もし、ご自身を大切にできない根本的な原因を解決したいと感じていらっしゃるのであれば、ご自身の親子関係や、これまでの人生で経験してきたプロセスをじっくりと見つめ直すことも大切です。 過去の経験が、今のあなたの考え方や行動パターンに深く影響を与えている可能性もあります。
もし、自分を大切にすることについて、もっと深く知りたい、あるいは悩んでいらっしゃるという方は、いつでもお気軽にご相談ください。
それでは、今日も皆さんがご自身らしく、穏やかな一日を過ごされますように。
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