こんにちは。心理カウンセラーの浅野寿和です。

今日のコラムは「頼まれると、つい引き受けてしまう」。

このご相談をいただくと

「断り方がわからなくて…」

そう話す方、すごく多いです。

でもそのあと、だいたいこう続きます。

「でも、断ったらその人が困るかもって思って」

「私がやった方が早いし、迷惑もかからないし…」

そうして引き受けた“つもり”だった仕事が、気づいたら「当然のように、あなたの仕事」になってる。

しかも、それが1回や2回じゃない。

小さな“いいよ”の積み重ねが、いつのまにか「あなたがやってくれる前提」を周囲に植えつけている、みたいな状況が続いてしまうんですね。

まぁ世の中「できる人がやらないと回らない」なんてことも多々あるわけでして、できない人に仕事を任せるなんて怖いわけですよね。

よって「できるあなた」が獅子奮迅の働きを見せることになる。

もちろん「仕事ができる」という評価が嫌なわけじゃない。けれど、あまりに丸投げが続くと

「もうむり。マジでしんどい」
「他にサボってる人いるじゃんかー」
「私より仕事せず、毎日さっさ帰る同僚とかありえないんですけど」

って気持ちになるですよ、ほんとにねー。


「できるから任される」は、いつしか“黙ってても背負う人”になる

まず、今日のコラムの大前提をおつたしておきたいと思います。

「頼まれると断れない」が続いた結果、いつの間にか“私の仕事”になっていた。

この状態を「あなたが周囲に利用されている」とか、「断れないあなたが悪い」「周囲が悪い」という話をしたいわけじゃない、ってことです。

むしろ、引き受けてしまう心の構造についてお伝えしたいわけですよ。

そして、この心の構造って、いわば善意で始まっていることが殆どだ、って話なんです。

  • 頼られるのがうれしい
  • 自分にしかできない気がする
  • 人が困ってるのを放っておけない
  • 頑張ってる人を見ると助けたくなる

優しさと責任感がある人ほど、そうなりやすい。

でもこの“助け方”には、ある落とし穴があるんです。

それは、「頼まれると断らないことで、“自分の立ち位置”を確保している」という構造です。

たとえば…

  • 自分が動けば、場がうまく回る
  • 自分が手を出せば、喜ばれる
  • 自分がいる意味が、そこにある気がする

こういうふうに、「やること=存在の証明」になってしまうと、頼まれてないことすら、つい自分からやってしまう。

つまり、役割を“自ら”取りにいく構造が無自覚に動き始める。

そしてその姿を見た周囲は

「あの人は頼めばやってくれる」
「黙っててもやってくれる」

と、学習してしまう。(もちろん、学習したとしても闇雲に仕事を振りまくることに関しては要一考だろ?って感じですけどね。)

そうなると、頼まれるハードルも、感謝の言葉も減っていく。

すると今度は、「認知されないのに引き受ける人」になる。

つまり、「評価もされないのに仕事は増える」という、しんどい状態が静かに出来上がるわけです。


「頼まれると断れない=信頼」になっていませんか?

あなたが今、燃え尽きそうになっているとしたら、それは“頑張りすぎた”からだけじゃないかもしれないんですよねぇ。

もしかしたら、“頑張り方のクセ”が、「引き受けることを通してしか関係を築けない」という信念を作っていたのかもしれません。

ここでの「関係」とは、職場の人間関係だけを指しているわけではないんですよ。

社会との関係、仕事の関係、お金との関係、愛する人との関係、さまざまな要素が絡んできています。

とかく見えにくい心理としては「仕事などを無理してでも引き受ける」ということと、「自分自身が誰かに愛されるという期待が満たされること」が一致してしまっている場合なんですけどね。

ただ、この話を書き始めると、期待の心理や癒着の心理などにふれる必要があって、テキストが膨大になりますので、また別の機会に書きたいと思います。

ただ、この「燃え尽きそうになっている理由」だけを考えるとしたら。ここには2つの大きな構造があります。

1:「関係の主導権を握るために、先回りする」という構造

自分の中に「相手に迷惑をかけたくない」「嫌われたくない」という感覚があると、頼られる前に自分から動いてしまうようにもなるんです。

これは一見すると“献身”。

しかし、裏返すと「自分が主導権を持っていれば安心できる」という不安回避的な動きでもあります。

2:頼まれると断わらないことが、無意識の“自己価値の証明”になっている

役に立つことでしか、自分の価値が感じられない。

断ると「嫌われる」「役に立たないと思われる気がする」。

心理的には「無価値感」を強く感じているゆえに役に立とうとしている状態です。

こういう感覚が強いと、引き受けることが「生きる手応え」のようになってしまう。

その結果、「疲れていても断れない」「断ると言えない」という「心の回路」ができてしまうのです。

でも、本当の信頼って、「全部任せること」や「我慢して耐えること」ではないですよね。

むしろ

  • 自分のキャパを伝えること
  • 必要なときには“任せること”
  • ときには「NO」と言うことで関係性を守ること

これもまた、大人の信頼関係の一部でもあるんですよね。

ただ、どーしてもそれがいいづらい、という反応が自分の中から消えないとしたら、無理する前に、一度自分の心理パターンを見つめてみる(カウンセリングなどで)こともオススメですよ。

心理的な抵抗を和らげたうえで、意思表示したほうが楽ですからね。

仕事も恋愛も断れない人は「優しさと罪悪感の境界」にいる

「なんだか申し訳ない」「かわいそう」「相手に悪いなぁ」

そう思うとき、僕たちは「優しさと罪悪感の境界」の中にいると言えるでしょう。

そこで、罪悪感(自分が悪いという感覚)を選択するか。

それともほんとうの意味での優しさを選択するか。

それ次第で、あなたの毎日が変わってしまうと言っても過言ではないでしょう。

僕たちが「優しさと罪悪感の境界」の中にいるとき。

罪悪感(自分が悪いという感覚)を選択するとしたら、「相手に悪い影響力を与える」と自覚することになります。

ほんとうの意味での優しさを選択するとしたら、「相手に良い影響力を与える」と自覚することになります。

「自分は相手に良い影響を与えている」という自覚があると、相手がいい反応を示さなかったときに「なぜ相手はそんな反応をするのだろう」と思えるようになります。

しかし「良い影響を与えられない」という思いが強いと、「なぜ相手はそんな反応をするのだろう」と思えず、「私が悪いのではないか」と考えてしまう癖が付きます。

この考えグセ、感じグセを変えることはとても大切なことです。

断れないときは「人との境界線」を自覚してみよう

頼まれると断れななくて辛い、とお感じの方から

「いくら私が優しくしても相手は私の気持ちを分かってくれない」
「優しくしていると利用されてしまう」

なんて声を伺います。

たしかにそれが事実ならば大変嫌で切ないことですよね。

そのお気持ちもまた大切にされるべきことでしょう。

ただ、相手が喜ばないことも、あなたを利用する人がいることも、それはあなた以外の人の選択だという側面があることには気づいていただきたいのです。

また、「優しくしていないと相手が怒る・傷つく」という思い込みをお持ちの方がいますが、相手が怒るのも、傷つくのも、相手の選択なのです。

怒られることは確かに嫌なことですし、自分の影響で人が傷つくこともまた心苦しいことでしょう。

もちろん、こちらが悪意を持って意図的に怒らせていたり、傷つけているのであれば、心苦しさを感じて当然でしょう。

それは訂正したほうがいい点です。

が、そうでないならば、相手が怒ることも、傷つくことも、相手の選択なのです。

このあたりの「相手との心の境界線」は明確にしておくことをオススメします。

特に罪悪感を感じやすい人は、人と人との境界が曖昧になりやすいのです(癒着の心理)。

あなたが取るべき責任を誤解してしまうと、どんどんNoが言えなくなってしまうもの。

本当に優しいあなたでいたければ、罪悪感は選ぶべきではないのです。

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まとめ:引き受けすぎた人が、もう一度“自分”に戻るために

あなたが誰かを支えてきたことは、とても価値のあることです。

そこに嘘や見せかけはなかったはずです。

でも、あなたがいま疲れているなら、「誰かのために」から「自分のために」へ、一度、視点を戻してみてもいいかもしれません。

「これって、本当に“私の仕事”だったんだっけ?」

この問いかけが、少しでも余白を生み、“あなたらしさ”を取り戻すヒントになればと思います。

ABOUT ME
浅野寿和 | 心理カウンセラー/トレーナー
恋愛・夫婦・仕事・生き方の中で、「ちゃんとやってきたのに、どこか噛み合わない」そんな感覚を抱えやすい人のご相談を多くお受けしています。 正しさや結論だけを急がず、今どこに立っているのかを一緒に整理する個人セッション(カウンセリング)が人気。 キャリア16年・臨床実績10,000件/東京・名古屋・オンライン対応。リピーターさまが多いカウンセラー。口癖は「どんなことにも事情があるよね」。
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