こんにちは。

心理カウンセラーの浅野寿和です。

今日の記事は、僕のブログの読者さんからいただいたご相談にお答えします。

テーマは、

「期待しないトレーニング」と「どこまで期待しないのが正解なのか?」

です。

いただいたご質問はこちら

最近、日々漠然と感じるストレスの元は「人への期待」なんじゃないかと思うようになりました。

彼氏のためにとった行動が、逆に嫌がられたり・・・。

「共感してくれるはず」という思いが外れると、傷ついてしまいます。

でもこれは、相手が悪いというより、自分が勝手に傷ついてるのかなと。

そこで「期待しないトレーニング」を意識して人と接してみようと思ったのですが、本当にそれでいいのかが知りたいです。

見返りを求めず接することは自己成長に繋がるのでしょうか?

また、期待しないほうがいい場合と、期待したほうがいい場合があるようにも思います。

どこまで期待していいのか、また、人に期待すべき場面というのはあるのでしょうか?

ネタ募集ネーム:おひるねさん

*

とても大事なご相談をありがとうございます。

期待にまつわる悩みって、けっこう多いんですよね。

「もう期待しないようにしよう」

「見返りを求めないようにしよう」

「相手には相手の事情があるんだから」

と考えてみる。

それで少し楽になるなら、それでいいんです。

ただですね。

「期待しないようにしているのに、なんでこんなに腹が立つんだろう」

「もう期待しないと決めたのに、また期待してしまう」

となることもある。

・・・期待しないようにすることに、疲れてるやないか、と。

今日はそのあたりまで書いてみたいと思います。

そもそも「期待すること」自体は悪くないんです

まず、ここは先に押さえておきたいところです。

人に期待すること自体が、問題だと言い切れるわけではありません。

たとえば、

  • 大切な人とうまくやっていきたい。
  • 自分の気持ちを分かってもらえたら嬉しい。
  • 頑張っている人にうまくいってほしい。
  • 子どもが幸せになってくれたらいいな。

そう願うことまで、「期待だから手放しましょう」となったとしたら・・・なんだかずいぶん世知辛い話になってしまいますよね。

人は未来に対して何かを願うものですし、大切な人の幸せを願うことだってあります。

そういう期待まで全部なくす必要はないと僕は思っています。

期待には、大きく分けて2つあるんですよ

僕は、期待には大きく分けて2つある、と考えています。

一つは、不足感からの期待。

「分かってほしい」

「これぐらいしてほしい」

「私はこれだけやっているんだから、あなたもしてくれるはず」

というような、今の自分の満たされなさを、相手や外側の何かによって埋めてもらおうとする期待ですね。

もう一つは、良い結果への期待。

「この人がうまくいけばいいな」

「幸せになってくれたらいいな」

という、どちらかというと願いや祈りに近い期待です。

同じ「期待」という言葉なんですが、中身はけっこう違うんですよ。

なので、

「期待しないトレーニング」が役立つとしたら、主に前者の“不足感からの期待”についてです。

良い結果を願う気持ちまで消してしまう必要はないと思います。

では、なぜ「期待しないようにする」がうまくいかないのか

さて、ここからが今日の本題です。

「相手に期待しないようにしよう」と決めても、なぜかまた期待してしまう。

職場で「これぐらいやってくれてもいいのに」と思うと、なぜかイライラが溜まる。

彼や彼女に振り回されないようにしようと思っているのに、LINEが来なければ気になる。

共感してくれると思ったのに、思ったような反応が返ってこないと傷つく。

こういったとき、僕がカウンセリングでよく見るのが、

自分と相手との境界線が、少し曖昧になっている状態です。

境界線なんて書くと、「私は私、あなたはあなた。以上!」みたいな、冷たい話に聞こえるかもしれませんけどね。

そういう話ではないです。

もっと日常的な話です。

たとえば、

「私はこうされたら嬉しい」

これは自分の気持ちですよね。

でも、それがいつの間にか、

「私はこうされたら嬉しい。だから、あなたもそうしてくれるはず」

になると、ちょっと境界線が曖昧になっている感じなんですね。

他にも、

「私はあなたのことを考えている」が、

「だから、あなたも私と同じぐらい私のことを考えるはず」になる。

気持ちとしては僕も理解できるんですよ。

相手のことが好きなら、なおさら。

ただ、ここでは、「私がそう思っていること」と、「相手もそう思うはず」が、セットになっている感じなんですよね。

僕が言う「境界線が曖昧」というのは、たとえばこういう状態のことなんです。

境界線が曖昧になると、期待はかなりしんどくなる

じゃあ、自分と相手との境界線が曖昧になると、何が困るのか。

いくつかあります。

相手の反応で、自分の気分が決まりやすくなる

たとえば、相手からのLINEが返ってきたら、安心。

返ってこないと、不安。

分かってもらえたら、「私は大切にされている」。

分かってもらえなかったら、「私は大切にされていない」。

このように、相手の反応が自分の心のリモコンみたいになっていくんです。

もちろん、人の反応で気分が変わること自体は普通にありますよ。

ただ、あまりにそこに自分の気持ちを預けすぎると、しんどいですよね。

「言わなくても分かってくれるはず」が増えていく

「私ならこうする」

「これぐらい普通分かるでしょう」

「付き合ってるんだから、それぐらい察するでしょう」

期待が強まると、こういった気持ちも出てきやすくなります。

でも、相手からすると、・・・知らんがな、ということもあるわけです(^^;

まぁ、言い方はアレですけど。

こちらの中では「当然」でも、相手にとってはまったく当然ではないことがあります。

すると相手は、何を期待されているのか知らないまま、勝手に不合格になっていくんですよ。

これはお互い、なかなか辛い。

相手の気持ちまで背負ったり、自分の気持ちを相手に背負わせたりする

彼が不機嫌だと、「私が何とかしなきゃ」となる。

相手が落ち込んでいると、「私のせいなのかな」ということもあれば、逆に、「私はこんなに不安なんだから、あなたが安心させてよ」となることもあります。

つまり、相手の気持ちを自分の責任にしたり、自分の気持ちを相手の責任にしたりする。

こうなると、誰が何を感じていて、誰が何を選ぶのかが、かなり分かりにくくなります。

目の前の相手そのものが、見えにくくなる

僕はこれが、けっこう大きいと思っているんですけどね。

期待が強くなっているときって、

「この人は今、何を考えているんだろう?」

ではなく、

「この人は、私の期待どおりに動いているか?」

を見ていることがあります。

すると、目の前にいる相手よりも、

  • こうしてくれるはずの彼・彼女
  • こうあるべき同僚・上司
  • 私を理解してくれるはずの夫・妻

のように相手を見ていることになる。

こうなると、お互いに苦しくなることもありますよね。

だから「期待しない」は、期待を消すことじゃない

ここ、大事なところです。

僕は、

「期待しないようにしましょう」

という言葉だけだと、ちょっと足りないと思っているんです。

なぜなら、

「期待しちゃいけない」

「見返りを求めちゃいけない」

と、自分の気持ちを押し込めるだけになることがあるからです。

それは境界線を作っているんじゃなくて、自分の気持ちを関係の外に追い出しているだけなんですよ。

そうではなくて、

私は、こうしてほしい。

でも、相手がどうするかは相手が決める。

そして、

相手には相手の気持ちがある。

でも、その気持ちをどう受け止め、私はどうするかは私が決める。

この両方がある状態。

これが、自分と相手との境界線を意識する、ということだと僕は思っています。

じゃあ、なぜ境界線が曖昧になるんでしょうね

ただですね。

ここで、「ほら、境界線が曖昧だからダメなんですよ」で終わらせるのも、あまり好きじゃないんです。

そもそも、どうしてそこまで相手に期待するようになったんだろう。

そこも見たほうがいいと考えていますし、境界線が曖昧になっていることを自責の理由にする必要はない部分もあるんですよ。

僕がよく見るのは、むしろ、長い間、一人で頑張ってきた人。

自分のことは自分で何とかして。

誰かに頼るより、自分が動いたほうが早いと思って。

人のことを考えて、ちゃんとやろうとしてきた。

いわば、「頼れるものは自分だけ」という感じで、自分への期待を知らず知らずのうちに積み重ねてきた。

ただ、その状態を続けると・・・疲れますよね。

だから結果的に、心のどこかで、

「もう誰かに分かってほしい」

「私のことも考えてほしい」

という気持ちが出てくることがありますよ。

他人に自分の人生を丸投げしているから境界線が曖昧になる場合もありますけど、全てが全て、そう限らない。

ただ、そういう人ほど、「助けて」「私はこうしてほしい」と直接頼ることに慣れていない場合もけっこうあるんですよね。

すると、その気持ちが、

「分かってくれるはず」

「これぐらい察してくれるはず」

という期待の形で出てくることがあるんです。

だとしたらですよ。

その人に必要なのは、「期待するな」だけなんでしょうか?

それが僕が長くカウンセリング現場で見てきた景色でもあるんです。

期待しないトレーニング|4つの方法

では、ここから、今までご紹介してきた「期待しないトレーニング」を、

「自分と相手の境界線を取り戻すトレーニング」

として考えつつ、具体的にご紹介します。

期待しないとは、相手に何も望まないことではありません。

自分を保ちながら、相手には相手の世界があることも忘れずに接する。

そんなイメージです。

1:今の自分に、無理な期待をかけていないかを見る

まずは、自分です。

「もっとできるはず」

「もう乗り越えているべき」

「この程度で傷ついてちゃいけない」

そんなふうに、今の自分を無視して、自分を追い立てていないでしょうか。

もちろん、自分自身の研鑽や技術の向上、目的達成のために自分を追い込むことには、一定の意味があると思うのです。

そうではなく、「そもそも一人で頑張り続けるしかない状態だとしたら」という話です。

人への期待で苦しくなっているとき、意外とその前に、自分自身にもかなり無理な期待をかけていることがあります。

仕事も、恋愛も、人間関係も、プライベートも、ちゃんとしよう。

・・・うーん、かなり忙しいです、それ。

なので、いわゆる自分への期待に気づいて、そこが少し緩んでくると、

結果的に「相手が何とかしてくれなきゃ困る」という期待も、少し緩んでくることがあります。

2:相手が今、何を大切にしているのかを見る

「相手は分かってくれるはず」

「こうしてくれるはず」

そういった思いが強いなら、そこから一度離れて、

「相手は今、何を大切にしているんだろう?」

と見てみましょう。

これは、相手の言いなりになることじゃないですよ。

相手を、自分の期待を満たす役割としてではなく、自分とは違う一人の人として見るということです。

自分だったらこうする。

でも、この人は違うかもしれない。

そう思えたらしめたものですよ。

違いがあることが分かると、「こうしてくれるはず」という期待に振り回されにくくなります。

一方で、「いや、普通こうだろう」「常識的にこうするだろう?」と考えると、期待は止まらなくなりますよ。

3:相手の反応を、自分の価値の証明に使わない

「分かってもらえた」=「私は大切にされている」

「分かってもらえなかった」=「私は大切にされていない」

という構図になっていると、そりゃ相手の反応が気になります。

一つ一つが、自分の価値を決める判定になるわけですから。

でも、相手の反応は、相手の反応なんです。

相手は今、余裕がないのかもしれない。

そもそもこちらとは考え方が違うのかもしれない。

こちらの意図をよく理解していないのかもしれない。

もちろん、本当に雑に扱われている場合もあるでしょう。

ただ、どの場合であっても、相手の一つの反応によって、自分そのものの価値まで決めなくてもいいと理解する。

ここ、人の態度で自分の気持ちが揺れやすい人ほど、少しずつ分けていくことがオススメですよ。

4:目の前の人に、今の自分にできるベストで大切に接する

最後はこれです。

自分から相手を大切に扱う。

理解を示す。

自分にできることをする。

これは、「完璧に理解してあげなきゃ」「相手のためにもっとやらなきゃ」とは違います。

・・・それやると、また自分への期待が始まりますからね。

今の自分にできる範囲でいいんです。

疲れているなら、疲れている自分なりに。

余裕がないなら、その中でできることで。

そして、自分がどう接するかは自分が選ぶ。

それを受け取って相手がどう反応するかは、相手に任せる。

ここも境界線なんですよね。

「期待しない」とは、相手を諦めることじゃない

ここまで書くと、

「じゃあ、人には何も期待せず、全部自分でやったほうがいいってこと?」

と感じる方もいるかもしれません。

いやいや、それはそれでかなり孤独な話です。

期待しないことと、人を信じないことは別です。

お願いすることもできる。

頼ることもできる。

「私はこうしてほしい」と伝えてもいい。

ただ、お願いすることと、「当然そうしてくれるはず」は違う。

ここなんですよ。

自分の希望を相手に伝える。

でも、それをどう受け取るかは相手にも選択肢がある。

その結果を見て、自分もまた考える。

人間関係って、本来そういうやり取りがあるものだと思うんです。

良い意味での期待まで、手放さなくていい

そして、もう一つ。

最初に書いた、もう一つの期待。

「良い結果への期待」ですね。

これは残していいと思うんです。

  • パートナーの幸せを願う。
  • 友達がうまくいくといいなと思う。
  • 子どもの挑戦を応援する。
  • 推しの活躍を願う。

・・・推しまで出てきましたけど(笑)

そういう期待は、「こうならないと私は困る」という期待とは少し違います。

僕はむしろ、

「私はこうなったら嬉しい。でも、その人がどう生きるかはその人のもの」

というところに、信頼に近い期待があると思うんですよね。

相手を信じる。

幸せを願う。

でも、その人の人生をこちらの思いどおりにしようとはしない。

そこには相手への愛情もあるのでしょう。

その期待は捨てる必要はなく、ときに期待通りにならずに傷ついたとしても、そう願うことに意味があるものでしょうね。

その期待は、何を求めているんでしょうね

もし、何度「期待しない」と決めても、どうしても期待が止まらないなら。

期待そのものを叩く前に、ちょっと見てみてほしいんです。

「私は、本当は何を求めているんだろう?」

分かってほしかった。

大切にされたかった。

少しぐらい頼りたかった。

自分ばかり頑張るのを、もうやめたかった。

そんな気持ちがあるのかもしれません。

だとしたら、その気持ちまで、「期待する自分が悪い」と片づけなくていいんですよ。

ただ、その気持ちを、「相手なら当然分かってくれるはず」という形でしか表現できないと、自分も相手も苦しくなります。

だったら、

「私はこう感じてる」

「こうしてもらえたら嬉しい」

と、自分の希望として扱っていけばいい。

そして、相手には相手の答えがあると、理解しておく。

そこから二人の話が始まるんじゃないでしょうか。

おわりに|期待しないとは、「私」と「相手」をちゃんと二人にすること

おひるねさんのご質問に、あらためてお答えすると。

「期待しないトレーニングをしてみるのはどうか」

僕は、やってみる価値はあると思います。

ただ、「もう期待しちゃいけない」と自分の気持ちを抑えるトレーニングにはしないでほしいんですね。

むしろ、

私はどうしたいのか。

相手はどうしたいのか。

この二つを、ごっちゃにしない。

そのためのトレーニングだと思ってください。

「私はこうしてほしい」と思っていい。

「あなたがうまくいったら嬉しい」と期待してもいい。

ただ、その気持ちを「だから相手はこうするべき」まで持っていかない。

相手には相手の気持ちと選択がある。

そして、自分にも自分の気持ちと選択がある。

期待しないとは、相手を遠ざけることではなく、「私」と「相手」を、ちゃんと二人に戻すことなのかもしれません。

そのうえで、大切にしたい人を大切にする。

願いたい未来は願っておく。

僕は、それぐらいでいいと思いますよ。

*

ただ、もし、どうしても期待が続いてしまう、境界線を意識しようとしてもうまくいかない、という場合。

ここにも、その人なりの事情があるものです。

誰かに期待することで、どうにか心のバランスを取ってきた部分が見えてくることもあります。

そういった「どうしてここまで期待してしまうんだろう?」という部分を整理していくことも、カウンセリングでは扱っています。

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