パートナーに”言いにくいこと”を伝えるにはどうしたらいい?|伝え方と伝えにくくなる心の仕組み
こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
今日は心理学講座などでうかがうことが少なくないテーマを扱いますよ。
「パートナーにいいにくいことを伝えるコツがあれば教えて下さい」。
・・・ほう。
そう思われることは、なにかあるんですね・・・。
なんて邪推をするわけじゃないんですけどね。
このようなご質問、ホントよくいただくんですよ。
まぁ生きていれば「言いにくいけど、わかってほしいこと」ってありますよね。
最近、ちょっと食べ過ぎだよ、とか、喋り方が雑すぎる、とか(たとえが悪いな)
また、自分の失敗を伝えるときも、なかなか言いづらい。
とはいえ、言わずに過ごすことも、相手に不誠実なようにも思える。
しかし、それはお節介でしかないのでは?相手が傷つくのでは?とも思う。
だから、「言いにくいことを上手に伝えるにはどうしたらいいの?」という疑問をお持ちになるのかもしれません。
ということで、今日はそんな話をサクッとまとめてみます。
よろしければどうぞ。
Index
なぜ「言いにくいこと」は、こんなにも言いにくいのか?
まず、そもそもの話。
なぜ「言いにくいこと」はこんなにも言いにくいのでしょうか。
・・・そりゃ言いにくいからだろ、というツッコミはあえて受け流しますが。
実は多くの場合、私たちが怖れているのは「相手の反応」そのものではありません。
自分が相手に影響を与えてしまうこと。
そして、関係が変わってしまう可能性。
ここを恐れているから、言いにくいのです。
言いにくいことを伝えるという行為は、ときに関係に波を立てる行為でもあります。
相手が傷つくかもしれない。
怒るかもしれない。
距離ができるかもしれない。
つまり、「嫌われるかも」以上に、「関係が変化すること」そのものを怖れていることが多いわけですよ。
そしてもう一つ。
人は、自分が感じている怒りや寂しさ、不満といった感情を
どこかで「悪いもの」と扱っていることがあります。
だから、伝える前に自分の中でこう思ってしまう。
「こんなこと言う私は、わがままなんじゃないか」
「これを言ったら、面倒な人だと思われるのではないか」
すると、問題は“伝え方”ではなくなります。
「こんな気持ちを持つ自分を許せるかどうか」
ここが本丸になってくるわけです。
言いにくいことが言えない背景には、相手への配慮だけでなく、
自分の感情をどこまで信頼できているか
というテーマが潜んでいることも少なくないようですよ。
言いにくいことをうまく伝える方法を考える
さて、では実際に「言いにくいことを伝える方法」について見ていきます。
ここは僕なりに思う「難易度別(初級・中級・上級)」でご紹介していきます。
初級編①|事実だけを置かない。自分の気持ちをちゃんと語ろう。
まずは、言いにくい事柄の事実だけ伝えることは避ける、です。
ちょっと気まずくて、自分の気持ち、所感を省いて
「あのとき、こうだった」「こんな事が起きた」とだけ伝える方がいますが・・・
それ、相手にとっては圧倒的な情報不足なんですよ。
だから、相手が不安になる。余計な想像をするのです。
言い方を変えれば、「怖がらせているだけ」という・・・。
なので、事実だけを伝えない。自分の気持ちや事情はちゃんと語りましょう。
初級編②|断定は避けて、相手の気持を受け止めながら伝えよう
ただ、いくら言いにくいことでも、
断定的な言い方(「これはこうだ」「あなたはこうだ」)とか、
「言い訳じみた言い方」は避けたいところですね。
また、気持ちを伝えるなら「私は」という主語をつけましょう。
実は私にこういう事があって、こう思ったんだよね、といった風に。
そして、なぜそのことを相手に伝えたいと思ったのかも伝えたいところです。
ただし、相手が途中で感情的になるケースもあるでしょう。
そのときは、話を一旦止めて、相手の気持に耳を傾けることがコツ。
まず、受け止めて、「また伝えてもいい?」と相手に確認しながら伝える、を繰り返す感じですね。
人は「自分の気持ちや影響を受け止めようとする相手には心を開きやすい」ですから。
中級編|「言いにくいことを伝える=悪いこと」と思いこんでいないだろうか?
中級編は、「言いにくことを伝えることが悪いこと」という思い込みを外す、です。
言いにくいことを伝えることも、大切なコミュニケーションの一つ。
言わないことで問題になることも結構ありますよ。
例えば「健康診断の結果が悪かった」なんてケース。
でも、パートナーが不安になるから言いづらいなんて思う人、いません?
そして、優しい人っぽく見えないですか?
心配かけたくないと思うので、言わないのでしょうから。
ただ、このとき、「結果が悪い自分」を「悪い存在」のように感じはじめることがある。
「健康診断の結果が悪い自分、問題だわ、迷惑だわ」と。
実はそう感じているので、言い出せない人も少なくないのかも。
ここ、さらに言えば「常に秘密を抱える」ということでもあるんです。
この感覚も、不思議なんですが「罪悪感」を強化します。
相手に隠し事をしている、嘘をついている、という形のね。
もちろんその程度のこと伝えなくてもいいでしょ、と思えることもあります。
が、それを続けた結果
「大事なことも言い出せなくなっている」
そんな人を僕はたくさん見てきましたよ。
ちょっと勇気がいりますが、「言いづらいことを秘密にする癖」を見つめ直す感じが良いでしょうね。
・・・それは優しさの皮を被った罪悪感だよん、とね。
実はここで起きているのは、
「私があなたに影響を与えてはいけない」という立ち位置の影響です。
つまり、自分を関係の“下”に置いてしまう。
これは「対等に関わることへの怖れ」でもあるんですよね。
この話の続きは、次の記事にも書いてあるので参考にしてください。
上級編|「相手に私を大切に思う気持ちがある」と体感できるようになる
ここから上級編です。(なので難しい話です(^^;)
これはとても感覚的な話なのでわかりにくいかもしれません。
「人の愛(パートナーの愛)は自分に向いているんだな」
ここが受け取れるようになると、そもそも「言いにくいこと」という考え方自体がなくなっていきます。
言いにくいことは「ちゃんと伝えるほうがいいこと」に変わる。
結果、「言いにくいことが言える」という構図。
たとえば、
愛されていると感じた瞬間に、急に逃げたくなるような感じがしたり、素直になれずに反発したくなったり。
あの妙な居心地の悪さが原因で言いたいことが言えない人も多いのですよ。
このことを理解するためには、
「自分が愛する・与える経験を積むこと」
「深く人に理解されたときに、自分の感情が動くことに慣れること」
ここが重要になりますね。
心理学でいう「投影」や「意味づけ」という観点から見ると
「私が心から愛し与えること」で、「人も同じように(正確には同じではないのですが)愛し、与えようとしてくれているのではないか」という感覚を知ることができます。
これは理解というより、実感です。
ただ、この状態になると、
同時に”自分の感情が今までにない反応を見せることがある”のです。
めっちゃ怖くなったり、戸惑ってしまったり、フリーズしたり・・・。
つまり、このような感情の反応に慣れていない人ほど「ホントのことが言いづらくなる」のです。
その理由は、普段は感じていない深いレベルの感情が動くからなのですが、
まさに「上級編」で、ご存知の方は「分かる」となる話だと思います。
ただ、一度ここまで感じられるようになっておくと、今後がとても楽になるという性質があるものですね。
僕が行っている”感情や感覚を扱うセッション(イメージワークなど)”が効果を発揮する領域の話でもあります。
最後に
言いにくいことを伝えるというのは、テクニックだけで解決できる場合もあれば、そうではないケースもあります。
・自分の感情を否定しないこと
・関係が揺れる可能性を引き受けること
・そして、それでも向き合おうとすること
この3つが重なったとき、はじめて「伝える」という行為が成立します。
もちろん、怖いものは怖いのです。
ですが、その怖さは「関係を大切にしたい」という気持ちの裏返しかもしれません。
・・・そして、”一番大事なところ”を最後にぶっこみます(^^;
「言いにくいことがある」という状態そのものが、
今の関係が更に進む前のサインであるのかもしれませんよ。
本当にどうでもいい相手には、言いにくいことなんて生まれません。
言いにくいのは、関係を壊したくないから。
影響を与えたくないのは、失いたくないから。
つまり、怖れているのは「対立」ではなく、「喪失」なんです。
ここに気づけるかどうかは、今後のパートナーシップの質に直結しそう。
もし、あなたが言いにくいと感じているなら、それは関係を雑に扱っていない証拠かもしれませんよ?
もし今、なにか伝えたいことがあるなら、
また、テクニックだけでどうにもならないと感じたときは、
まずは自分の中のその気持ちを丁寧に扱うところから始めてみてください。
伝え方は、そのあとでいくらでも整えられますよ。
今日はここまで。
こちらの記事も参考にどうぞ|関連記事
- 好きな人の顔色をうかがってしまう心理|彼氏・彼女の顔色を気にする本当の理由
- 「言いたいことがあったら言ってね」は、どこまで信用していい? |その言葉がすれ違いを生む理由と、男女の“困ったとき”の前提
- 言いたいことが言えない心理とは?本音を言えなくなる人の特徴と恋愛パターン
- 家族や身近な人に言いたいことが言えない人の心理|我慢ではなく「役割」の問題だった
このサイトでは、
「人は裁かない。でも、構造はごまかさない。」
というコンセプトで、夫婦や家族の関係の中で揺れやすくなる“心”と今の関係を、心理学の視点から整理しています。
「離れるべきか」「我慢すべきか」
そんな二択で考え続けて、少し疲れてしまったときに。
今の関係を、見つめ直すための場所として、このサイトを使ってもらえたらと思っています。
あなたの愛情を折れない形に整える|夫婦カウンセリング
もし、ご夫婦や家族、日々の生活の中で悩みを抱えたら。
もう一人で抱え込まないで、そのときのあなたの状態に合わせて、対話を重ねていく”夫婦カウンセリング”をご利用ください。
そのときのあなたの状態に合わせて、対話を重ねていく夫婦カウンセリング。
夫婦の問題は、努力や話し合いだけでは整理しきれないことも少なくありません。
- 何が正しいのか分からなくなってきた
- もう十分考えたはずなのに、答えが出ない
- 自分の感覚が鈍っている気がする
今の夫婦関係をどう扱っていくのか。
あなたの頑張りを無駄にしないで、 これからの選び方を、一緒に整理していく時間です。
誰にも知られることなく、今の状況を丁寧に扱う、あなただけの時間です。
東京(品川駅前)/名古屋(金山駅前)で対面式カウンセリング・全国向けにオンラインカウンセリング(ZOOM)を行っております。
夫婦の日常に、新しい視点を足す”心理学講座”
心理学講座は、「こういう見方もあるのか」という発見を、ゆっくり増やしていく場所です。
毎月テーマは違いますが、夫婦関係に活かせる心理を扱う講座を開催することもあります。
オンライン受講できる講座もご用意しています。
一人で考えすぎる日常から、少し離れるために|無料メールマガジン
まだ誰かに頼るほどじゃないけれど、
このまま誰かとの関係のことを、一人で考え続けるのは、少ししんどい。
そんなときの、「考えすぎないための視点」を、週3回(火・木・土)お届けしています。

