職場で起きる嫉妬の心理|“正しさの顔”をした攻撃が始まる理由
こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
今日は、職場で起きる嫉妬について書いてみます。
この時期は人事異動や配置換え、昇進の話が出やすい時期でもありますよね。
「おめでとう」「よろしくお願いします」と言い合う季節でもあるのですが、現実には、もう少しシビアな心の動きが起きることもあるようです。
たとえば、
- 昇進した途端、周囲の空気が変わった
- 異動後から、なぜか協力が減った
- 明確な悪意は見えないのに、なんとなく外される
- ミスを必要以上に強く指摘されるようになった
- 「調子に乗っている」といった空気を感じる
こうした出来事の背景には、単なる好き嫌いだけでは説明しきれない、嫉妬の問題が含まれていることもあるのです。
今日は、きれいごとではなく、職場で起きやすい嫉妬の心の仕組みと、そうした状況に巻き込まれたときに何を大切にしたいか、という視点で整理してみます。
Index
職場の嫉妬は「感情」だけで終わらないことがある
嫉妬というと、個人の感情の問題として捉えられがちです。
もちろん、感情の問題でもあるのでしょう。
ただ、職場で起きる嫉妬は、それだけでは済まないことがあります。
なぜなら職場には、
- 評価がある
- 役割がある
- 序列がある
- ポストに限りがある
といった条件があるからです。
つまり、嫉妬が単なる「モヤモヤした気持ち」で終わらず、
協力しない、情報を渡さない、距離を取る、妙な空気を作る
といった行動につながりやすいのです。
ここが、職場の嫉妬の少し厄介なところかもしれません。
嫉妬は「私は嫉妬している」とは自覚されにくい
さらに難しいのは、このような形の嫉妬は、嫉妬する側にその自覚が薄いことです。
そもそも嫉妬って感じたくない感情のひとつなので、多くは正当化されたり、否認されたりすることが多いんですよ。
なので、実際には、こんな形で出てくることが多いんですよね。
- なんとなくあの人が癪に障る
- やり方が強引に見える
- 人の気持ちを考えていないように見える
- ちょっと調子に乗っているように感じる
つまり、嫉妬そのものとしてではなく、「正当な評価」や「常識的な批判」の顔をして出てくることがあるのです。
だから、言われた側も反論しづらいんですよね。
露骨な悪意ならまだしも、「いや、ただそう思っただけですけど」と言われると、それ以上何も言えなくなることもありますから。
なぜ職場では嫉妬が起きやすいのか
職場では、比較が可視化されやすいのだと思います。
昨日まで横並びだった人が、今日から評価する側になる。
決定権を持つ。
権限を与えられる。
そうすると、人は無意識のうちに自分の立ち位置を測り直します。
心理学では、自分より上に行った人と自分を比べることを「上方比較」と呼ぶことがあります。
この上方比較は、刺激になることもありますが、場合によってはかなり強い揺れを生むこともあるようです。
特に、
- 本当は自分もそこに行きたかった
- 自分の居場所が脅かされたように感じる
- これから先の自分の立場が不安になる
といった感覚があると、人は防衛に入りやすくなります。
その防衛が、嫉妬として自覚されるより先に、批判や距離感や微妙な空気となって出てくるのかもしれません。
「正しさの顔」をした攻撃が始まるとき
この手の嫉妬で起きやすいのは、露骨な喧嘩ではありません。
むしろ、もう少し地下に潜るような形を取りやすいようです。
- 協力が減る
- 情報が回らない
- 相談されない
- 小さなミスが必要以上に拡大される
- なんとなく外される
大きな事件は起きていない。
でも、地味に削られる。
これ、かなりしんどいんですよね。
しかも、責任がある立場ほど簡単には降りにくいですし、「気のせいかな」と思って耐え続けてしまいやすいのです。
このあたりが、昇進した側、抜擢された側、立場が変わった側の苦しさかもしれません。
そこには「影」の影響もあるのかもしれません
もう少し踏み込んで言うと、
この手の嫉妬には、心の影、いわゆるシャドーの影響があることも考えられます。
たとえば、嫉妬する側の内面には、こんな感覚があるのかもしれません。
- 本当は自分も認められたかった
- 本当は自分も上に立ってみたかった
- でも、その立場を引き受けるのは怖い
- 今の自分では難しい、とどこかで分かっている
そういう心の揺れがあるとき、出世した人や評価された人は、見たくない自分を映す鏡のような存在になることがあります。
すると、相手の中にある実際の問題以上に、こちらの中の反応が強くなるのです。
その結果として、
- あの人は調子に乗っている
- やり方が強引だ
- チームワークを壊している
といった、“正しさっぽい言葉”で語られ始めることがあるのでしょうね。
こういうとき、何より優先したいのは「自分が潰れないこと」
こうした話をすると、「あなたの価値を信じましょう」とか「相手はあなたを羨ましがっているのです」といった言い方が出てきやすいのかもしれません。
でも、僕はあまりそういう話をしない方です、個人セッションでは。
なぜなら、必ずしもそれが理由だとは限らないからです。
たしかに羨望が含まれる場合もあるのでしょう。
ただ、それだけでは説明しきれないことも多いですし、「あなたの価値が高い証拠です」と言われても、しんどいものはしんどいんですよね。
だから、こうした状況で何より優先したいのは、
まず自分が潰れないこと
だと僕は思うのです。
仕事をどう続けるか。
異動するか、残るか。
今後のことはどうするか。
それを考える前に、まず自分の心身が持つかどうか。
人事ってすぐ変わるものでもないので、自分の心をどう整えるかは大切です。
視野が狭くなる前に、外側の支えを持っておく
こうした状況の怖さは、視野が狭くなりやすいところにもあります。
人は追い詰められると、どうしても
- 自分が悪いのかもしれない
- いや、相手が悪いのではないか
- もう全部投げ出したい
と、二択や極端な考え方に引っ張られやすくなります。
だからこそ、必要ならば
- 身近な支援者を確保する
- 信頼できる人に状況を言葉にしてみる
- 専門家に相談する
といったことは、とても大切な戦略になるはずです。
これは弱さではなく、自分を守る知恵なのだと思います。
最後に:この出来事を、自分の立ち方を見直すきっかけにする
職場で嫉妬や攻撃めいた空気にさらされると、「どうやってこの状況をなくすか」ばかり考えたくなるかもしれません。
もちろん、それも自然な反応でしょう。
ただ同時に、こうした出来事は、これからの自分の立ち方を見つめるきっかけにもなります。
- この場所で、どんな立ち位置を取るのか
- 誰を味方にするのか
- どこまで背負い、どこからは背負わないのか
- この場所に居続けるのか、離れるのか
そんなことを考えるきっかけにすることはできるはずです。
職場で起きる嫉妬は、あなたが弱いから起きるわけではありません。
また、あなたが強ければ全部乗り越えられる、という話とも限らないのでしょう。
組織という環境の中で起きることだからです。
だからこそ、一人で抱えないこと。
そして、自分の視野が狭くなっていないかを、ときどき誰かと一緒に点検すること。
今日はそんな話でした。
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