苦手な人が頭から離れないとき|「相手がおかしい」と考え続けるほど疲れる理由
こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
今日は、「苦手な人のことが、なぜか頭から離れない」という話を書いてみます。
職場の人、友人、親、パートナー・・・。
別に好きなわけでもない。
むしろ、できれば考えたくない。
なのに、家に帰ってからも思い出す。
「なんであんな言い方するんだろう」
「普通、あんなことする?」
「あの人、やっぱりおかしくない?」
と、脳内反省会ならぬ、脳内相手検討会が延々続く。
・・・頼んでもいないのに夜間営業している状態って、そりゃ疲れますよね。
苦手な人が頭から離れないとき。
相手の言動に傷ついたり腹が立っているだけではなく、
「相手はどう考えるべきか」「どう振る舞うべきか」「どうして分からないのか」と、気づかないうちに相手の領域へ入り込み続けていることがあります。
すると、自分には変えられないことをずっと考えることになる。
これが、しんどさを増やしている場合があるんです。
Index
- 1. 「あの人、おかしくない?」と思うこと自体が問題なわけではない
- 2. 気づかないうちに「相手の領域」に入り込んでいることがある
- 3. 人間関係では、「相手に境界線を越えられる」ことだけが問題ではない
- 4. なぜ「相手がおかしい」と考え続けるほど疲れるのか
- 5. 相手のことを考え続けるほど、自分の話が分からなくなることもある
- 6. 相手の領域から、自分の領域へ戻ってくる
- 7. 「うまく関わる」とは、仲良くなることだけじゃない
- 8. 苦手な人との関係は「どうするか」ではなく「どう扱うか」で考える
- 9. ただし、本当に相手から侵害されているなら話は別です
- 10. じゃあ、どうしてそこまで相手の領域に入り込んでしまうのか
- 11. 「そこは私の仕事じゃなかったのかも」と返していく
- 12. 最後に|相手の領域から、自分の人生へ戻る
- 13. こちらの記事もどうぞ
「あの人、おかしくない?」と思うこと自体が問題なわけではない
最初に、ここははっきり書いておきたいんですけどね。
「相手がおかしいと思ってはいけない」という話とはちょっと違うんですよ。
実際、
- 何度も約束を破る。
- 人を見下す。
- 嫌味を言う。
- 仕事を押しつけてくる。
- こちらが嫌だと伝えているのに、同じことを繰り返す。
そういうことがあれば、「いや、それはおかしいでしょう」と思うことぐらいあります。
何でもかんでも、「相手にも事情があるから理解しましょう」と丸め込めばいいとは思っていません。
・・・ただですね。
「その言動を私は受け入れられない」ということと、
「この人は、こういう人間であるべきではない」ということは、かなり違うのです。
ここが今回のポイントです。
気づかないうちに「相手の領域」に入り込んでいることがある
たとえば、職場にどうにも話が通じない人がいたとします。
こちらは、「こういう伝え方をされると困ります」と思っている。
ここまでは、自分の話ですよね。
でも、そのうち、
- 「普通はこういう言い方をするべきだ」
- 「あの人はもっと人の気持ちを考えるべきだ」
- 「そろそろ自分がおかしいことに気づくべきだ」
- 「ちゃんと反省するべきだ」
となっていくことがある。
・・・いや、その気持ちは分かるんですよ。
ただ、ここまで来ると、僕は時々、
「相手との関係に困っている」というより、こちら側も相手の領域に入り込んじゃっているのかも?
と見ることがあります。
相手が何を考えるか。
何に気づくか。
何にどう反省するか。
自分を変えようとするか。
相手がこちらを理解するか。
これらは最終的には、相手の領域の話なんですよね。
こちらが決められることではありません。
人間関係では、「相手に境界線を越えられる」ことだけが問題ではない
いわゆる「境界線」の話をすると、
「相手が私の境界線を越えてきた」
という話がよく出ます。
もちろん、それもありますよ。
こっちが嫌だ、困っている、と伝えているのにそのまま踏み込んでくる。
こちらの都合を無視する。
過度に干渉する。
そういう人もいるでしょう。
ただ、人間関係がしんどいとき、僕はもう一方の要素も見ていたりします。
「こちらも、頭の中で相手の境界線を越えていないだろうか」と。
典型的なイメージとしては、過干渉な親なんかが分かりやすいでしょうか。
つまり、
「相手はこう考えるべき」
「こう感じるべき」
「こういう人になるべき」
まで、こちら側で決めてしまっていないか。
相手を好き勝手に扱う、という意味だけが領域侵犯ではないんですよ。
相手の心の中にまで入り込んで、「ここはこうなっているべき」と答えを出し続けることも、結構しんどいんです。
なぜ「相手がおかしい」と考え続けるほど疲れるのか
これは、ある意味シンプルです。
自分には決められないことまで、自分の課題として抱えてしまうからです。
たとえば、
「どうしたらあの人に分からせられるんだろう」
と考える。
もちろん、こちらの説明の仕方で伝わりやすさは変わります。
でも、最終的にそれをどう理解するかは、相手の領域の話なんですよ。
「いつになったら反省するんだろう」と考えるときも同じ。
でも、反省するかどうかも相手の話です。
「どうして普通に話せないんだろう」と考えるときもそう。
これも、こちらだけでは決められない。
すると、相手が目の前にいない時間まで、ずっと頭の中で相手に対する想像が終わらないんですよ。
会社から帰っても考える。
お風呂でも考える。
布団に入ってからも、「いや、やっぱりあの言い方はおかしい」と再審が始まる。
・・・もう閉廷の時間なんですが、なかなか終わりそうにない。
なぜなら、「相手が変わる」という確認が取れるまで、自分の中でこの問題を終わらせにくくなっているから、なんですよね。
相手のことを考え続けるほど、自分の話が分からなくなることもある
相手について考えすぎていると、自分がどうしたいのかが分からなくなることがあります。
「なんであの人は分からないんだろう」は、ずっと考えている。
でも、「私は、この人とどういう距離なら楽なんだろう?」は考えていなかったりする。
「あの人は非常識だ」は考えている。
でも、「私は、どんな扱いなら受け入れられて、何なら受け入れられないんだろう?」は曖昧。
「どうしたらこの人を変えられる?」は考える。
でも、「もしこの人が変わらないとして、私はどうしたい?」は考えていない。
これ、結構あるあるな話です。
気づかないうちに、相手の領域に入り込むほど、自分の領域の話がスッポ抜ける。
そんな感じです。
相手の領域から、自分の領域へ戻ってくる
なので、苦手な人が頭から離れないとき。
「相手を許しましょう」「いいところを見ましょう」と考えられるならいいんです。
ただ、それが難しいと思うときは、一旦、問いを変えてみる方法もあるんですよ。
| 相手の領域に入り込んでいる問い | 自分の領域に戻る問い |
|---|---|
| なんであの人は私を理解しないの? | 私は、理解されないことで何が一番辛いんだろう? |
| どうしたらあの人を変えられる? | 私は、この人とどんな距離なら関われる? |
| 普通そんなことしないでしょう? | 私は、その扱いを受け入れられる? |
| いつになったら反省するの? | 反省しない相手と、私は今後どう関わる? |
| どうして分かってくれないの? | 私は何を伝える? 何はもう相手に任せる? |
これ、相手を甘やかすためではないです。
むしろ逆で、相手のことは相手に返して、自分のことを自分の手元へ戻す。
という話なんですよね。
「うまく関わる」とは、仲良くなることだけじゃない
ここも結構大事です。
苦手な人がいると、なぜか、「この人とうまく関われるようにならなきゃ」と思うことがあります。
職場の人だから。
家族だから。
夫婦だから。
長い付き合いだから。
だから、分かり合わなきゃ。
関係を改善しなきゃ。
普通に話せるようにならなきゃ。
そう思う。
でもですね。
すべての人と深く分かり合えることって可能なんでしょうか?
理念や理想としては持っていていいことだと思います。
ただ、現実的にはそれってかなり難しいと僕は思うんです。
- 挨拶と必要な連絡だけできれば十分な人もいる。
- 仕事上の相談だけできればいい相手もいる。
- 好きではあるけれど、全部を預けないほうがいい人もいる。
家族だけれど、一定の距離があったほうが、良好な関係が保てるケースだってあるでしょう。
いわゆる人間関係って、「近いほど良い」わけじゃないんですよ。
その人との間で無理なく成立する距離がある。
もちろん、お互いに理解し合えて、もっと親密な関係が無理なく成立するなら、それはそれでいい。
ただ、すべての相手とそこまで近づかなければならないわけではない、という話なんですよね。
苦手な人との関係は「どうするか」ではなく「どう扱うか」で考える
なので、苦手な人との関係は「どうするか」ではなく
「この関係を、私はどう扱いたいんだろう?」
と考えてみるほうが、意外と良い答えが出る場合が多いです。
たとえば、
- 必要な話だけする。
- こちらの希望を一度きちんと伝える。
- 相手の機嫌までは背負わない。
- 深く理解してもらうことは期待しない。
- こちらも相手を理解し切ろうとしない。
- 少し距離を取る。
- 信頼できる人には相談する。
- それでも難しいなら、関係そのものを見直す。
こういう選択肢が出てきます。
相手が変わることだけを「解決の条件」にしてしまうと、選択肢が一つになるんです。
「相手が変わる」しかない。
こうなると、気づかないうちに、相手の領域に入り込み続けることになるんですよね。
しかし、自分の領域に戻ってくると、自分の中で選べるものが増えるんですよね。
ただし、本当に相手から侵害されているなら話は別です
とはいえ、本当に相手から侵害されているなら話は別ですよ。
そこは分けてください。
暴力。脅し。ストーカー行為。執拗な嫌がらせ。強い支配。
こちらが拒否しているのに繰り返される侵入的な言動。
こういったものがあるなら、「私も相手の領域に入り込んでるのかな」と自分を分析するより先に、安全を確保したり、距離を取ったり、必要なら第三者や専門機関を頼ることを優先してください。
今回書いているのは、あくまで関係について考え続けるうちに、こちらの頭の中まで相手に占領されてしまっているようなケースについてです。
じゃあ、どうしてそこまで相手の領域に入り込んでしまうのか
さて。
ここで、「ほら。あなたも相手の境界線を越えてましたね」で終わるのも、僕はあまり好きじゃないんですよねぇ。
また自分を責める材料が一個増えるだけなので。
なぜそこまで相手について考え続ける必要があったんだろう?
ここも見たほうがいいと思います。
もしかすると、
- 分かり合いたかったのかもしれない。
- その関係を壊したくなかったのかもしれない。
- こちらが工夫すれば、何とかなると思っていたのかもしれない。
- 自分がちゃんと対応できれば、問題は起きないと思っていたのかもしれない。
- 人を簡単に悪者にしたくなかったのかもしれない。
あるいは、
「こんな扱いをされて終わるなんて納得できない」
という気持ちが残っていることもあるでしょう。
だとしたら、相手の領域に入り込んでいたこと自体を、また「私がダメだから」にしなくていいと思うんです。
そこまでする理由も自分の中にあったのかもしれない。
そのことは見ておいていいんでしょうね。
「そこは私の仕事じゃなかったのかも」と返していく
そのうえで、苦手な相手との関係で悩み続けるよりも、少しずつ相手に返していく意識を持ってみるといいんじゃないでしょうか?
相手が理解するかどうかは、相手の領域の話です。
どう反省するかも、相手の領域の話。
その結果、どういう人になるか、もこちらでは決められません。
しかし、
- 自分がこの人とどのぐらい関わるか。
- 何を伝えるか。
- 何はもう言わないか。
- どういう扱いなら受け入れられるか。
- どこから先は距離を取るか。
これは、自分の側で考えられる。
だから、
「なんであの人は?」と相手の中へ入り続けるより、
「私はこの関係をどう扱う?」と、自分の側へ戻ってくる。
これが一つのポイントだと思うんですよね。
最後に|相手の領域から、自分の人生へ戻る
苦手な人が頭から離れない。
嫌いなのに、ずっとその人のことを考えてしまうって、しんどいんですよ。
そんなときに、「こんなに気にするなんて、私にも問題があるのかな」とだけ考えなくてもいいと思います。
実際に嫌なことをされたのかもしれない。
納得できないことがあったのかもしれない。
だから、腹が立つ。
そこまでは自然でしょう。
ただ、家に帰ってまで、「あの人はどうして分からないんだろう」「どうしたら変わるんだろう」と考え続けているなら。
一度だけ、
「もしかして、私も相手の領域に踏み込みすぎてない?」
と問い直してみてもいいかもしれません。
その上で、
私はこの人と、どんな距離で関わるのか。
何を伝えるのか。
何は相手に返すのか。
そして、自分はどう生きたいのか。
そこは、自分で選んでいくといいんでしょうね。
自分も相手も変えようとしすぎず、その間にある「関係」をどう扱うかを選べること。
それも、人とうまく付き合っていく力の一つなんじゃないでしょうか。
こちらの記事もどうぞ
価値観が合わない人との「分かり合えなさ」や距離感については、こちらでも詳しく書いています。
▶ 合わない人ってしんどい。でも実は、“自分”を思い出させてくれる存在です
自分と相手の境界線が曖昧になることで「相手はこうするはず」という期待が強くなることについては、こちらの記事でも整理しています。
▶ 期待しないトレーニング|期待が止まらない理由と、上手に期待しない方法
相手を大切にしながら、自分の気持ちも関係の中に置く方法についてはこちらもどうぞ。
▶ “察して動く私”をやめた私 〜やさしさを残したまま境界線を引くコツ〜
「自分らしく生きましょう」って、よく言いますけど。
その“自分らしく”が分からないから困ってるんですけどね。
ちゃんとやっているのに、なんとなく疲れる。
人に合わせられるけど、これでいいのかなと思う。
こういうとき、「あなたらしさとは何ですか?」と答えを探すより、
あなたの心がどう動いていたのか。ちょっと知りたくないですか?
7日間の無料メールセッション
「心はどう動いた?」から、
見えていなかった糸口を見つける。
恋愛や夫婦関係などの事例を通して、
僕がカウンセリングでどんなところを見ているのかを、
7日間のメールでお届けします。
心理観察ワークブックPDF付き
+ 約60分の特別編集版セミナー動画特典
ここから先、もう少しじっくり考えてみたい方へ
話を聞いてみたい
毎月第3木曜の夜、90分のオンライン心理学セッションを開いています。 心理学の知識だけではなく、「そういう見方もあるのか」と、少し見え方が変わるような時間です。
自分の状況を個別に整理したい
「相手のことが分からない」 「自分はどうしたらいいんだろう」 そんな今の状況を、心理学的な見立ても使いながら一緒に整理していきます。
また、イメージなどを使った心理療法(セラピー)もご提供します。
東京(品川駅前)・名古屋(金山駅前)での対面カウンセリングと、 全国向けのオンラインカウンセリング(Zoom)を行っています。

