深読みさんと忍耐女子

「私ばっかり」と思いながら、「私しかいない」と信じていた 〜支え続ける人が、限界に気づくまで〜

空を向いて歩く女性

こんにちは、心理カウンセラー浅野寿和です。

毎週金曜は「深読みさんと忍耐女子」にまつわるコラムを連載中です。

今日のコラムはこちら!

「私ばっかり」と思いながら、「私しかいない」と信じていた

「なんか私ばっかり頑張ってる気がするなあ」

そんなふうに思うときって、決まってちょっと疲れている。

誰かに投げ出したいとか、甘えたいとか、そういう願望以前に、

「なんで私ばっかりこんなに気を遣ってるんだろう」

って、自分でも不思議になってくる。

でも、同時にこうも思う。

「……でも、私がやらなきゃ、終わっちゃうしな」

ここで黙ったら、関係が壊れそう。

私が踏ん張るから、この関係は持ちこたえてる。

そう思ってると、やっぱり手放せない。

「私しかいない」

そう信じている。

でも、それが静かに自分を削っていることには、気づきにくいんですよね。


頼らせる側でいると、頼るという選択肢が見えなくなる

この感覚は、深読みさんや忍耐女子に多く見られるものです。

自分が周囲を読む力に長けていたり、相手のニーズに敏感だったりする。

だから、「相手が困る前に」「空気が悪くなる前に」自然に動いてしまう。

結果として、いつも“支える側”に立ってしまう、というね・・・。

それが当たり前になってくると、今度は「頼る」という選択肢が消えていきます。

もちろん頭ではわかっているんです。

「たまには誰かにお願いしてもいい」

「全部ひとりで抱えなくてもいい」って。

でも、どうしても踏み出せない。

それはなぜかというと・・・

「頼る=迷惑をかける」という回避構造

深読みさんは、相手の表情の変化にすごく敏感です。

だから、過去にほんの少しでも「頼った結果、相手が困った」ような場面があると、それが強烈に記憶に残ります。

「もうあんな思いはしたくない」
「嫌われたくない」
「がっかりされたくない」

そんな気持ちが、自分から「頼る」という選択肢を奪ってしまう。

だから、「私がやった方が早い」「私が我慢すれば丸く収まる」と自分に言い聞かせながら、気づかれないところで、限界ギリギリまで支え続けるのです。


「私しかいない」と思い込むことで、選べなくなる

そして気づけば、「私ばっかり頑張ってる」と思っているのに、その関係性を変えようとはしていない自分がいます。

それはなぜか。

どこかで「私がいなきゃ、この関係は成り立たない」と信じているからです。

でも、その「私しかいない」は、本当にそうなんでしょうか?

よく見ると、相手はそんなこと、一度も言ってないかもしれない。

「あなたがいないと困る」なんて、明言されていない。

むしろ「助けてもらえるのが当たり前」みたいな顔をしている場合だってある。

でも、私の中では“崩せない信念”になっている。

それが、「私しかいない」という思い込みの正体なんです。


限界を迎えて、初めてわかることがある

そしてある日、ふと限界が来る。

「なんで、私がここまでしなきゃいけないの?」
「なんで、誰も気づいてくれないの?」
「なんで、私は“いい人”でいようとするんだろう?」

ここでようやく、「私しかいない」が、自分の中の心の軸としてぶっ刺さっていたことに気づきます。

誰に押しつけられたわけでもない。

けれど、そう思い込むことで、頼られ続ける側でいられる「安全地帯」に身を置いていた自分がいた。

傷つかないために、失望しないために、

私は“支える人”という役割を、ぎゅっと握りしめていた、というね。

うーん、だから、これは問題ではなく、切ない自己防衛だと僕は思うのです。

辛いけど、悪いことではない。

苦しいけれど、責めるべきことでもない。

ただ、自分のために「これからどんなスタンスで行きていくといいのか」という選択の話なんだと思うのです。


“支えることを手放す”のは、見捨てることではない

「私がいないとダメ」という構造から抜け出すことは、関係性を壊すことでも、誰かを見捨てることでもないんです。

むしろ、「私がぶっ壊れてしまわないこと」が、いちばん大事。

あなたが静かに崩れてしまうより、「そろそろ限界かも」と言ってくれる方が、周囲にとっても救いになります。

そして、“自分が全部やらなくても大丈夫かもしれない”と一歩引いてみたとき、ようやく見えるものがあるんです。

「私以外にも、ちゃんといた」
「任せられる部分も、あった」
「私が思っていたより、世界は冷たくなかった」

そんな発見が、あなたにとって、少し切なくもありながら、しかし、同時に少しずつ楽にしてくれるはずです。

「私しかいない」と信じていたけど、実は「私ばっかり」だった。

そう気づいたときこそ、あなた自身を救い出すチャンスかもしれません。

こちらの記事も読まれています

忍耐女子のシンボル・祈る女性
パートナーの代わりに執着心を抱え込むお察しさんの話 〜お察しさんと執着心の話〜あなたが今、パートナーに対する強い執着心を持っているとして。 それが、実は「パートナーの代わりに執着心を抱え込んでいる状態だ」と言われ...
並び立つ男女
責任ある立場にある人ほど、孤独を避けるべき理由こんにちは。心理カウンセラーの浅野寿和です。 今日は、「責任を背負って生きてきた人」が抱える“見えない孤独”について、少し掘り下げてみ...
責任感で悩む男性
過大な責任感で生きづらいと悩む理由 〜背負いすぎる責任の裏に隠れた心理〜私達が社会の中で生きるうえで責任感を持つことは大切なことですよね。 ただ、日々カウンセリングをさせていただいていると、あまりに大きな責...

まとめ:「私しかいない」は、あなたの想いである。

「私ばっかり頑張ってる」と思うとき、

私たちはもうすでに、少し限界が近いのかもしれません。

でも、そんな自分を責める必要はありません。

それだけ、あなたが“誰かを大切に思ってきた”という証でもあるからです。

ただ、覚えていてほしいのは、「私しかいない」という信念は、必ずしも現実ではないということ。

もしかしたら、もっと頼っていい人がいるかもしれない。

少し崩しても、大丈夫な関係なのかもしれない。

「私だけが支え手じゃなくてもいい」

そんなふうに、自分の世界を広げてみることは、あなたの心を軽くしてくれる、大事な選択肢のひとつです。

それを実感するために「どうして私しかいないという気持ちを抱くのか?についてのカウンセリングを受けてみる(私以外の支え手との関わりを持つ)」も一つの選択肢なのかもしれませんね。

この記事が、そうした視点のひとつになればうれしいです。

ABOUT ME
浅野寿和 | 心理カウンセラー/トレーナー
恋愛や夫婦関係、仕事、対人関係、生き方の”こじれ感”を「甘すぎない心理学」で解決。ただ、気持ちを受け止めるだけでなく、背景にある心理構造や関係性のパターンを整理し、「現実的で納得できる選択」を一緒に探っていきます。 臨床実績10,000件/東京・名古屋・オンライン対応。
もっと知りたいとき、解決したいとき── 「今の私」を、もう一歩だけ前に進めるための4つの方法

読むから、整えるへ。

浅野寿和のブログは、考えるだけでなく“関係を変えるための心理学”を届けています。ここから、あなた自身のペースで一歩ずつ整えていきましょう。

誠実に頑張ってきた人のための、“心の整え方”

毎月6万人が訪れる心理ブログ。責任や孤独、関係の悩みなど“大人のこじれたテーマ”を、月・水・金に新作コラムでお届けしています。

👉 一人では解けなかったお悩みを、さまざまな視点から整理する記事です。日常の気づきにお役立てください。

もっと深く知りたい方へ|無料メールマガジン

ブログでは書けない“リアルな話”もお届け。考えるだけでなく、“実生活で整える”ためのヒントを週3回(火・木・土)配信します。あなたのペースで、心の理解を“使える気づき”に変えていきましょう。

  • 読者限定:講座先行予約のご案内
  • 登録特典:「心を整える7日間ワークブック」無料プレゼント

“大人”の日常に効く心理学講座

わかっているのに動けない」——そんな時期を抜けるためのオンライン講座。心理を“知る”だけでなく、“活かす”90分

毎月さまざまなテーマで開催。あなたの優しさを、使える力に整えていきましょう。

 

頑張ってきたのに、幸せな未来が描けないあなたへ

頑張ってきたのに、まだ心のどこかが動けない。その優しさや誠実さを、“もう一度使えるように”整えるカウンセリング。

あなたと同じように“優しさの使い方”に迷ってきた人が、ここから少しずつ自分を整えてきました。浅野が、あなたの思考と感情の流れを丁寧にトレースしながら、“自分を責めないまま関係を整える”サポートを行っています。