「役割」が辛い恋愛を作り出す、という見えない恋愛心理を解説します
こんにちは。
心理カウンセラーの浅野寿和です。
今日は「役割と恋愛」についてのコラムをお届けします。
僕たちの心の中には「役割(役割意識)」というものが存在します。
この役割は、自覚できる場合もありますが、そうではないことも多く、わからないまま過ごすことも少なくないのですけどね。
この役割(意識)が気づかないうちに強まっていることで、なぜか辛い恋愛関係を作ることがあるのですね。
今日はそんな「役割と恋愛心理」の解説です。
Index
役割が強くなり恋愛が辛くなってしまった事例
以下にご紹介するものは架空のケースですが、一つ具体例を上げてみます。
最近、彼女(妻)といつもケンカばかり重ねています。
ケンカのキッカケはいつも些細なものですが、彼女の言葉にひっかかって言い返したくなってしまうんです。
例えば、最近仕事が忙しくてなかなか彼女と会えなかったんですね。
そんなとき彼女がLineで「もう少し二人の時間を大切にして欲しい」と伝えてきたんです。
きっと彼女は寂しい気持ちなんだと思いますし、彼女がそう言ってくれるのは、彼女も二人の関係を大切にしたいという思いがあるからかもしれません。
ただ、そのLineがどうしても嫌で、彼女の言葉を素直に受け容れられなくて反論してしまうんです。
それがエスカレートしていつもケンカ。
自分でも分かっています。この程度のことで怒らなくてもいいはずだ、と思います。
ただ、どうしても怒りが湧いてしまうんです。
私だって彼女のことを考えていないわけじゃない。
そう思うとどうしても怒りが湧いてきてしまうんです。
最近では、怒ることに疲れてしまって、彼女との関係自体を解消したほうが楽になれるんじゃないかとさえ思うんです。
こんな状態ですけど、もし彼女との関係をよりよい方向に進めるためにできることがあったら、と考えてご相談した次第です。
今日のコラムはこの事例を使って解説していきますね。
と、その話を進める前に、まず「役割」について少し解説しておきたいと思います。
恋愛で問題を作りやすい「役割」という心理
ここで扱う「役割」とは、
「こうあるべきだ」という姿に自分を当てはめ、その通りに振る舞おうとする心の働きを指します。
役割そのものは悪いものではありません。
むしろ、人との関係や社会の中で自分を守り、役に立つために自然に身についたものです。
ただし恋愛や夫婦関係では、この役割が無意識に強くなりすぎることで、
相手の言葉が「責め」や「ダメ出し」に聞こえやすくなり、関係が苦しくなることがあります。
さらに言えば、役割から降りられないことで、自分自身が燃え尽きていってしまうこともあります。
役割そのものの心理構造については、以下の記事で詳しく解説しています。
「役割」が辛い恋愛を作り出す理由
「役割」が辛い恋愛を作り出す理由はシンプルです。
自分自身が担っている役割が、
何らかの形できちんと担えていないと感じるとネガティブな感情を感じやすくなる
ということ。
それはまるで、役割から降りようとするときに感じる
「自分はなにか大切なものを失ってしまうのではないか」
「自分の価値が意味などが無くなってしまうのではないか」
という恐れを感じていることに似ている、と言えるんです。
うーん、この書き方だけだと分かりにくいので、今回の事例を使って解説します。
役割を担っていると、相手の意見がダメ出しに聞こえる
以下は今回の事例の抜粋です。
彼女がLineで「もう少し二人の時間を大切にして欲しい」と伝えてきたんです。
きっと彼女は寂しい気持ちなんだと思いますし、彼女がそう言ってくれるのは、彼女も二人の関係を大切にしたいという思いがあるからかもしれません。
ただ、そのLineがどうしても嫌というか、彼女の言葉を素直に受け容れられなくて反論してしまうんです。
こういった反応をする人の中には(あくまで可能性の一つですが)
「ヒーロー・ヒロインの役割」を担っている人が少なくないんですよね。
ヒーロー・ヒロインの役割とは
「自分自身が輝く存在、明るい存在、希望になることで誰かの役に立とうとするという役割」。
だから、ヒーロー・ヒロインの「役割」を担っている間は
「他人の意見や要求がダメ出しに聞こえる」可能性が非常に高くなるわけです。
これが役割の弱点の一つです。
役割を担っていると、
「自分の価値感は正しい」
「自分の行動は愛情からの行動で、相手のためになっているはず」
と信じてやまないのです。
もちろんそれが問題ではないんですよ。
ただ、役割を担っていると
「自分が相手の役に立とう」としているのに、
「相手がそれを理解しない」という事実でイライラしたりするものです。
これこそが「役割」にハマるデメリットであり、「役割に気づいていない状態」なんです。
ずっと我慢してきたのに、ある日限界が来るケース
これは、今回の事例とは外れた別のケース。
「我慢役」「調整役」という役割を担っている人に多いケースです。
たとえば、こんなご相談があります。
彼(夫)は穏やかで悪い人ではありません。
大きな不満があるわけでもない。
ただ、いつも話を合わせてきたのは自分。
空気を読んで引いてきたのも自分。
気づけば、言いたいことを飲み込むのが当たり前になっていて、
「この人と一緒にいて、私は何を感じているんだろう?」
と、ふと虚しさが湧いてくる。
相手は「何も問題は起きていない」と思っている。
でもこちらは、なぜかどんどん苦しくなっていく。
こうしたケースでは、
「関係を壊さない役割」「場を整える役割」を無意識に担い続けていることが少なくありません。
この役割を担っているうちは、関係は安定して見えます。
ただ、その分だけ「本音の自分」は表に出る場所を失っていきます。
そしてある日、些細な一言や出来事をきっかけに、
自分でも驚くほどの疲れや怒りが噴き出してしまうのです。
「こんなに頑張っているのに」と感じてしまう恋愛
次に多いのが、「いい人」「理解ある恋人」の役割を担っているケースです。
相手の事情を優先し、無理を言わず、責めない。
大人として、恋人として、きちんと振る舞おうとしてきた。
それなのに、ふとした瞬間に
「私は大事にされていないのでは?」
「都合よく扱われているだけじゃないか」
そんな気持ちが湧いてくる。
このタイプの役割を担っている人は、
「問題を起こさない自分」「分かってあげる自分」でいることで、関係を保ってきた可能性があります。
ただ、その役割が強くなりすぎると、相手からの配慮や関心が少なくなったときに、強い虚しさや怒りを感じやすくなります。
「ちゃんとしている自分」が評価されなくなったと感じた瞬間、役割そのものが揺らいでしまうからです。
相手を支える役割から降りられない関係
もう一つ、よく見かけるのが「支える側」の役割を担っているケースです。
相手が不安定なとき、弱っているとき、困っているとき。
そばにいて、話を聞いて、励ましてきた。
最初はそれで良かった。
むしろ、その役割を果たせている自分に意味を感じていた。
ただ、時間が経つにつれて、
「私はこの人にとって、支える存在でしかないのでは?」
という疑問が湧いてくる。
・・・それでも役割から降りるのが怖い。
なぜなら、支えなくなったら関係そのものが壊れてしまいそうだから。
この場合、役割は愛情の形として機能してきました。
だからこそ、降りることが裏切りのように感じられてしまうのです。
ただ、役割にしがみついたままでは、
対等な関係や安心感に進むことが難しくなることも少なくありません。
「役割」が辛い恋愛を作り出しているときの対処法を考える
僕たちは気づかないうちに様々な役割を担うことがあります。
たとえば・・・
- いい人役
- 問題を作る人役
- 問題を解決する役(ヒーロー・ヒロイン)
- 我慢役
- 調整役
- 支える役
- 和ませる役
- 理解する人役
- 相手に尽くす(殉教する)人役
など。
そんな「役割」が良い方向に作用している時は、自覚できる問題はなかなか起きません。
ただ、実際に辛い恋愛などの問題があるときは、その対処法を考える必要が出てくるかと思います。
役割で行動していることに気づく
もし、役割が問題を作り出しているなら
まず自分自身が「役割を担っていること」に気づく必要がありますね。
ただ、役割意識が強まっているときほど、自分の役割を自覚できないものなんですよ。
なぜなら、役割は「誰かの役に立つという目的を備えている」からです。
だから、善悪判断は横において、少し自分を客観視してみるといいのです。
たとえば、
自分の考え、言動などをノートなどに書き記してみて、時間をおいて眺めてみる、とか。
もし自分と同じ考えや言動を友人がしていたら、と例えてみるとか。
そのように自分を少し俯瞰して眺めて理解してみるといいんですね。
役割から降りなければ問題を繰り返す、と理解してみる
役割意識から出てくる問題は、そもそも「誰かのために」という思いを伴います。
だから、今の自分の不満や不安、葛藤などを、誰かに理解されることには大変な価値があります。
ただ、自分自身が役割を担い続けている限り、
「同じ葛藤や問題は繰り返す可能性が高い」ということでもあります。
これはパターン化するということであり、なぜかいつも同じ現実を迎えてしまう(限界を感じる)ということでもあるんです。
だから、「役割から降りることの意味」をどこかで理解できると、更に問題を解決しやすくなると言えますね。
「役割に価値がある」と思い込みすぎていないかチェックする
自分が担っている役割に
「価値があると思い込みすぎていないか」
チェックしてみるといいでしょう。
まぁ人にはさまざまな恋愛観がありまして、中には
「相手が役割を担ってくれることに恋をする」
という現実的な要素と恋愛する人もいますよ。
が、そういった人ばかりじゃないんです。
とかく恋愛や夫婦関係を、人と人とのつながり、信頼、絆、愛として捉えている人ほど
「パートナーがきちんと役割を担っているかどうかではなく、自分で選んだ人を大切にしている」
と考えたほうがいいです、ハイ。
「役割を担っていない自分に価値がない」という誤解を解く
「自分が担っている役割に価値がある」と思いこむ人ほど
「役割を担っていない自分に価値がない」と思い込みやすいのですが
それもちょっとした誤解だと僕は思うのです。
つまり、「役割を担っていない自分に価値がない」という誤解を解く必要があるのです。
そうではなく、一度自分をこう見つめてみてください。
「役割という、時に自分が追い詰められてしまうリスクを背負ってでも、役に立ちたい、笑顔にしたい人がいる」
そう思い続けているのは一体誰なんでしょうね?
この問いにきちんと答えていただけるなら、きっと答えは出ると思うのです。
・・・そして、これはただのお節介ですが(^^;
その答えは「あなた自身」のはずです。
こちらの記事も続きにどうぞ
- 頑張っているのに苦しくなる関係には、「役割」の問題が隠れている
- 家族や身近な人に言いたいことが言えない人の心理|我慢ではなく「役割」の問題だった
- 愛を受け取るのが怖くなるとき、心の中で起きていること ── 役割・罪悪感・「愛される側」に立てない心理
最後に
役割意識がもたらす恋愛や夫婦の問題は、
わかりづらく、かつ、衝突しやすい性質があります。
なぜなら、お互いがお互いのことを考えている可能性が高いから、です。
そもそもは大変に価値のある思いが通じ合わないことが問題を作る、というわけです。
なんとも切ない話です。
ただ、そのような内面的な事情が理解できないと、どうしても自分を責めたり、別れたくなることもあると思うのです。
だから、あなたがもしより良い関係を望むなら、
今回のコラムを参考にしていただいたり、
カウンセリングなどでじっくり自分を見つめていただいてもいいのではないでしょうか。
もちろん、役割を今すぐ手放す必要はありませんよ。
ただ、「それしか自分がない」と思っているとしたら、そこには少し立ち止まる余地があるのかもしれません。
このコラムが皆さんの幸せにお役立ていただければ幸甚です。
このサイトでは、
「人は裁かない。でも、構造はごまかさない。」
というコンセプトで、夫婦や家族の関係の中で揺れやすくなる“心”と今の関係を、心理学の視点から整理しています。
「離れるべきか」「我慢すべきか」
そんな二択で考え続けて、少し疲れてしまったときに。
今の関係を、見つめ直すための場所として、このサイトを使ってもらえたらと思っています。
あなたの愛情を折れない形に整える|夫婦カウンセリング
もし、ご夫婦や家族、日々の生活の中で悩みを抱えたら。
もう一人で抱え込まないで、そのときのあなたの状態に合わせて、対話を重ねていく”夫婦カウンセリング”をご利用ください。
そのときのあなたの状態に合わせて、対話を重ねていく夫婦カウンセリング。
夫婦の問題は、努力や話し合いだけでは整理しきれないことも少なくありません。
- 何が正しいのか分からなくなってきた
- もう十分考えたはずなのに、答えが出ない
- 自分の感覚が鈍っている気がする
今の夫婦関係をどう扱っていくのか。
あなたの頑張りを無駄にしないで、 これからの選び方を、一緒に整理していく時間です。
誰にも知られることなく、今の状況を丁寧に扱う、あなただけの時間です。
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心理学講座は、「こういう見方もあるのか」という発見を、ゆっくり増やしていく場所です。
毎月テーマは違いますが、夫婦関係に活かせる心理を扱う講座を開催することもあります。
オンライン受講できる講座もご用意しています。
一人で考えすぎる日常から、少し離れるために|無料メールマガジン
まだ誰かに頼るほどじゃないけれど、
このまま誰かとの関係のことを、一人で考え続けるのは、少ししんどい。
そんなときの、「考えすぎないための視点」を、週3回(火・木・土)お届けしています。

